VPN と SD-WAN の違い
安全な通り道を作るか、広域網をソフトウェアで制御するか

更新日 2026年11月2日 読む時間の目安 約4分
この記事の要点
  • VPN と SD-WAN は、どちらも社内システムと拠点・クラウドをつなぐ広域のネットワークの話に出てくる用語です。
  • VPN は認証と暗号化で、共有ネットワークの上に仮想の専用線(私設網)を作る技術、SD-WAN は SDN の考え方を広域網(WAN)に適用し、接続をソフトウェアで柔軟に制御する技術、と覚えます。
  • VPN は便利ですが、VPN 機器の脆弱性を狙った攻撃に注意が必要です。この点も問われます。
この記事の目次
  1. VPN とは
  2. SD-WAN とは
  3. 違いを表で比べる
  4. 試験での問われ方
  5. 覚え方
  6. 第1章の問題を解いてみる
  7. よくある質問

VPN とは

VPN(Virtual Private Network:仮想私設網)は、認証や暗号化によって、共有しているネットワークの上に仮想の私設ネットワークを作る技術です。社外から社内システムに接続するリモートアクセスで、ノートPCと社内のサーバの間に設定して使います。

以前は、社内システムと通信事業者のネットワークを、専用線などの直収型の接続で結ぶのが一般的でした。専用線は費用が高いので、今は低コストで通信を守れる VPNが主流になっています。

VPN には、インターネットを使う IPsec-VPN・SSL-VPN(インターネット VPN)と、通信事業者の閉域 IP 網を使う IP-VPN・広域イーサネットがあります。ただし、VPN 機器の弱点を狙った攻撃の被害が広がっているので、使うときには対策が欠かせません。

SD-WAN とは

SD-WAN(Software Defined WAN)は、ルータやスイッチなどの物理的な構成に依存せず、ソフトウェアでネットワークを制御する SDN の技術を、広域網(WAN)に適用したものです。

企業の拠点どうしの接続やクラウドへの接続で、さまざまな物理回線を見えるようにし、通信の流れ(トラフィック)を状況に合わせて制御できます。回線の構成を柔軟に変えられるのが特長で、拠点やデータセンタ、クラウドをつなぐ場面での柔軟性が高まります。

VPN と SD-WAN の役割の違い VPN(仮想の私設網) 暗号化で守った通り道を作る 共有ネットワークの上に、仮想の専用線ができる SD-WAN(広域網のソフト制御) 回線の使い分けをソフトで制御 拠点間・クラウドへの接続を、柔軟に切り替える SD-WAN は、SDN を広域網(WAN)に適用したもの
VPN と SD-WAN の役割の違い(もちこ道場のまとめ)

違いを表で比べる

比べること VPN SD-WAN
ひとこと 共有網の上に作る仮想の私設網 SDN を広域網に適用する技術
主な目的 通信を認証・暗号化で守って安全につなぐ 拠点間・クラウドへの接続を柔軟に制御する
仕組みの中心 認証と暗号化 ソフトウェアによる制御
種類・関連 IPsec-VPN・SSL-VPN・IP-VPN・広域イーサネット もとになる技術は SDN
注意点 VPN 機器の脆弱性を狙った攻撃 物理回線を見えるようにして制御する

試験での問われ方

モバイルシステム技術検定2級では、第1章「モバイルシステムの概要」で出ます。もちこ道場の第1章の問題(全140問)のうち、VPN・SD-WAN を扱う問題は19問あります。

  • 穴埋め: 「遠隔地のノートPCとサーバの間に設定する仮想専用網」に VPN、「SDN を物理的なネットワーク機器で構築した広域網に適用する技術」に SD-WAN を選ぶ。選択肢には VLAN・ISDN などが並びます。
  • 2つの空欄の組み合わせ: 「ソフトウェアでネットワークを制御する技術」に SDN、「それを広域網に適用したもの」に SD-WAN を入れる。VPN と VLAN を入れ替えた選択肢が並びます。
  • 記述を選ぶ: 「インターネット VPN は通信を暗号化しない」「VPN なら攻撃の標的にならない」のように、性質を取り違えた記述を見抜く。

覚え方

  • VPN は「P」の Private(私設)がカギです。共有の回線の上に、自分たちだけの仮想の専用線を作る、と覚えます。
  • SD-WAN は「SD」の Software Defined がカギです。ソフトウェアで決める(制御する)広域網。名前の最後の WAN(広域網)で、LAN 内の VLAN と区別します。
  • 「守るのが VPN、制御するのが SD-WAN」と、役割で分けて覚えると取り違えにくくなります。

第1章のほかの用語は「第1章 モバイルシステムの概要の要点」にまとめています。

第1章の問題を2問、解いてみる

もちこ道場の第1章(無料体験)の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。

問1

公衆無線LANの利用時におけるセキュリティ対策としては、通信の傍受や盗聴を防ぐために、WPA2や1などの高度な暗号化の設定がなされたアクセスポイントを選ぶことが重要である。

答えと解説を見る

正解は 3(WPA3)です。

【概要】

公衆無線LANにおける通信の傍受や盗聴を防止するための暗号化技術に関する問題である。WPA2やWPA3といった高度な暗号化規格の利用が推奨されている。

【図解】実験的機能

モバイルシステムのセキュリティ対策(端末・公衆無線LAN・組織内) モバイルシステムのセキュリティ対策(端末・公衆無線LAN・組織内)

図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。

【各選択肢の解説】

  • 1. WEPあなたの解答 WEPは初期の暗号化規格だが深刻な脆弱性が存在するため、盗聴防止の高度な暗号化設定として指定するのは不適切である。
  • 2. MACアドレスフィルタリングあなたの解答 MACアドレスフィルタリングは端末の接続を制御する技術であり、通信データの盗聴を防ぐ暗号化機能ではない。
  • 3. WPA3正解あなたの解答 WPA3はWPA2の後継となる最新の高度な暗号化規格であり、通信の盗聴や傍受を防ぐ空欄(1)の記述に合致する。
  • 4. SSIDステルスあなたの解答 SSIDステルスはネットワーク名の表示を隠蔽する技術であり、送信される通信データそのものを暗号化する機能ではない。

問2

モバイル環境の無線区間では回線が切断されるおそれがあるので、回線がつながっていなくてもある程度は操作を続けられる1を導入してシステムを開発することが有効である。

答えと解説を見る

正解は 2(Webアプリケーション)です。

【概要】

モバイルでは無線区間で回線の切断が生じる可能性があり、静的なWebページでは回線が回復するまで業務を続けられない。Webアプリケーションは回線が非接続でも操作を継続できる技術である。

【図解】実験的機能

モバイルシステムの課題と対応(端末の多様性・無線通信) モバイルシステムの課題と対応(端末の多様性・無線通信)

図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。

【各選択肢の解説】

  • 1. バッチ処理あなたの解答 データを一定量集めて一括処理する方式であり、通信切断時に逐次操作を継続させる仕組みではないため不適である。
  • 2. Webアプリケーション正解あなたの解答 回線が非接続でもある程度操作を継続でき、再接続時にサーバと同期を取る仕組みであり空欄(1)に合致する。
  • 3. スタンドアローンあなたの解答 ネットワーク非接続の単体で完結して動作する環境であり、通信再接続と同期を前提とする本問の運用に合わないため不適である。
  • 4. メインフレームあなたの解答 基幹業務を集中処理する大型汎用コンピュータであり、モバイル端末側で切断に対処する技術ではないため不適である。
この続きを解く

第1章の136問は、登録なしでそのまま解けます。解説と図解も同じ形で付いています。

第1章の続きを解く

よくある質問

VPN にはどんな種類がありますか?

大きく2つに分けて覚えます。インターネットを使う「インターネット VPN」(IPsec-VPN や SSL-VPN)と、通信事業者の閉域 IP 網を使う「通信事業者の VPN サービス」(IP-VPN や広域イーサネット)です。どちらも、共有している回線の上に仮想の専用線を作るという考え方は同じです。

VPN を使えば、攻撃を受ける心配はありませんか?

ありません、とは言えません。通信の内容を暗号化して守れる一方で、VPN 機器そのものの弱点(脆弱性)を狙ったサイバー攻撃の被害が広がっています。「VPN なら標的にならない」といった記述は誤りです。

VLAN や SDN とは何が違いますか?

VLAN は、スイッチの上で LAN を仮想的に区切る技術で、同じ拠点の中の話です。SDN は、ネットワークをソフトウェアで制御する技術で、主にデータセンタで導入が進んでいます。SD-WAN は、この SDN を広域網に適用したものです。選択肢に並んだときは、「どこの範囲の話か」で見分けます。

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出典・注記

出題範囲は、2026年11月2日にMCPC の公式ページで確認しました。用語の説明は、もちこ道場の問題と解説をもとにまとめたものです。

  1. モバイルシステム技術検定2級(MCPC 公式)