第1章 モバイルシステムの概要の要点
端末の分類、M2M と IoT、VPN、MDM を整理
- 第1章は、モバイルシステム全体の見取り図の章です。端末・接続機器・モバイルネットワーク・サーバと固定系網・セキュリティの用語が、広く浅く出ます。
- M2M と IoT、情報処理端末と情報通信端末、シンクライアントと MDM のように、似た位置づけの用語の違いが問われます。
- 用語は「システムのどの部分の話か」で6つに分けると、覚えやすくなります。
この章で問われること
第1章「モバイルシステムの概要」は、モバイルシステムが何でできているかを、端末・モバイルネットワーク・サーバと固定系網・セキュリティの順に広く見ていく章です。第2章以降で扱う話題の入口になります。
本番の100問のうち、第1章からは7問前後と予想しています。もちこ道場の模擬試験(100問・100分)は、全13章の範囲の広さに合わせて章ごとの問題数を決めていて、第1章からは7問を出しています。試験全体の約7%にあたります。
もちこ道場の第1章の問題は136問です。本番と同じ5つの形式に分けると、次のようになります。
| 形式 | 問題数 |
|---|---|
| 穴埋め(1か所) | 30問 |
| 穴埋め(組み合わせ) | 30問 |
| 長文(1つの文章に4問) | 16問 |
| 正しい記述を選ぶ | 30問 |
| 誤った記述を選ぶ | 30問 |
出てくる用語は、システムのどの部分の話かで、次の6つのまとまりに分けると整理しやすくなります。
6つのまとまりと押さえる用語
1. 基本の考え方
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| モバイルコンピューティング | 無線通信を使い、場所を選ばずにコンピュータを利用する環境 |
| M2M | 機械どうしが人の手を介さず、自動で情報をやり取りして制御する |
| IoT | さまざまなモノをつないで新しい価値を作る広い考え方(M2M を含む) |
| リモートアクセス | 遠隔地から、通信回線を通して社内のシステムなどに接続する |
| データ同期 | 複数のコンピュータの間でデータをやり取りして、内容をそろえる |
| ユビキタスコンピューティング | 人が持ち歩くのではなく、さまざまなモノにコンピュータが組み込まれる |
2. 端末の分類
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 情報処理端末 | 単独で使う前提の機器に通信機能が付いた端末(ノートPC・タブレット) |
| 情報通信端末 | 通信機能に加えて情報処理も備えた端末(スマートフォン・フィーチャーフォン) |
| ベーシックフォン | 通話やメールなど、限られた機能に絞った、シンプルな端末 |
| スマートフォン | 仕様が公開された OS を載せ、アプリを自由に追加できる端末 |
| ネットブック | 低価格で持ち運びやすい、ネット接続向けの小型PC |
| 表示視聴端末 | 電子書籍端末やデジタルサイネージなど、表示や視聴に特化した端末 |
| 情報収集端末 | センサネットワークの端末や車載端末など、データを自動で集めて送る端末 |
3. 接続機器
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| データ通信用アダプタ | 外付けでPCなどに通信機能を与える |
| データ通信モジュール | 機器の内部に組み込んで通信機能を与える(M2M・IoT で使う) |
| モバイルワイヤレスルータ | 携帯電話の回線と無線LANの間を中継する、電池内蔵の機器 |
| スマートメータ | 通信機能を備えた電力計。使用量を自動で集める |
4. モバイルネットワーク
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| キャリアアグリゲーション | 複数の周波数帯を束ねて、速くする |
| LPWA | 低速でも、省電力で遠くまで届く IoT 向けの無線通信 |
| sXGP | TD-LTE をもとにした、事業所などで使う自営のシステム |
| モバイルWiMAX | 広い範囲で移動中も高速に使える通信方式(BWA の一種) |
| NTN | 成層圏や宇宙から通信を届ける、地上以外のネットワーク |
| 公衆無線LAN | 外出先で Wi-Fi につなげるサービス |
| オフロード | 携帯電話網の混雑を避けて、データ通信を公衆無線LANなどへ回す |
| 00000JAPAN | 災害時に公衆無線LANを開放するときの、共通の識別名 |
5. サーバと固定系網
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| VPN | 暗号化などで、共有の網の上に仮想の専用線を作る |
| SDN | ソフトウェアで網を集中して制御し、構成を柔軟に変える |
| SD-WAN | 広域の網に SDN を使い、トラフィックを柔軟に制御する |
| Webアプリケーション | 回線が切れても、操作を続けられるようにする工夫が必要になる |
6. セキュリティ
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| MDM | 従業員のモバイル端末を、まとめて遠隔で管理・監視する |
| シンクライアント | データを端末に残さず、データセンタなどでまとめて管理する |
| ゼロトラスト | 内部からのアクセスも信用せず、毎回きびしく確かめる |
| 生体認証 | 指紋や顔など、本人の身体の特徴で確かめる |
| WPA3 | 公衆無線LANでの盗聴を防ぐための、暗号化の規格 |
取り違えやすい組み合わせ
選択肢には、同じまとまりの用語が並びます。次の組み合わせは、「何が違うか」を一言で言えるようにしておきます。
| 組み合わせ | 見分け方 |
|---|---|
| M2M と IoT | 機械の自動制御に重点(M2M)か、モノをつないで価値を作る広い概念(IoT)か |
| 情報処理端末と情報通信端末 | 単独で使う機器に通信が付いた(ノートPC)か、通信と処理の両方を備えた(スマートフォン)か |
| データ通信モジュールとモバイルワイヤレスルータ | 機器に組み込む(モジュール)か、持ち歩いて複数の端末をつなぐ(ルータ)か |
| VPN と SD-WAN | 仮想の専用線を作る(VPN)か、広域網をソフトウェアで制御する(SD-WAN)か |
| シンクライアントと MDM | 端末にデータを残さない(シンクライアント)か、端末を遠隔で管理する(MDM)か |
| ゼロトラストと境界防御 | 内側も信用せず検証する(ゼロトラスト)か、境界で守る(境界防御)か |
この章の勉強の進め方
- 6つのまとまりの名前を覚え、用語を見たら「システムのどの部分の話か」を言えるようにします。
- 上の表の組み合わせを、何も見ずに一言で説明できるか確かめます。
- 問題を解いて、迷った用語をその日のうちに見直します。
勉強の全体の計画は「勉強時間の目安と1か月の計画」にまとめています。
第1章の問題を2問、解いてみる
もちこ道場の第1章(無料体験)の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。
問1
インターネット接続のWAN側に携帯電話網などを利用し、LAN側には無線LANを用いて、LANとWANの間を中継する電池内蔵型の機器を1と呼ぶ。
答えと解説を見る
正解は 4(モバイルワイヤレスルータ)です。
【概要】
モバイルワイヤレスルータはWAN側の移動体通信回線とLAN側の無線LAN間を中継する電池内蔵型の機器である。PC等の複数端末を同時にネット接続できる。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. データ通信モジュールあなたの解答 データ通信モジュールは自動販売機等に組み込みM2M通信を提供する部品であり、LANとWANを中継するルータではない。
- 2. スイッチングハブあなたの解答 スイッチングハブは有線LAN内でMACアドレスに基づきフレームを転送する装置であり、モバイル回線を中継する機器ではない。
- 3. デジタルサイネージあなたの解答 デジタルサイネージは映像や情報を電子表示する広告用ディスプレイ端末であり、ネットワーク間を中継する機器ではない。
- 4. モバイルワイヤレスルータ正解あなたの解答 空欄(1)に入る語句であり、WAN側に携帯電話網、LAN側に無線LANを用いて中継する電池内蔵機器の定義に合致する。
問2
セキュリティや端末の耐久性等を確保するため、貴重なデータをデータセンタ等で保存・管理し、PC本体にはデータを保持せず画面表示だけに利用する形態を1と呼ぶ。
答えと解説を見る
正解は 3(シンクライアント)です。
【概要】
シンクライアントはデータを端末に残さずデータセンタ等で一括管理・処理する仕組みである。情報漏洩対策や端末管理の効率化に有効である。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. スタンドアローンあなたの解答 スタンドアローンは外部ネットワークに接続せず単体で動作する利用形態であり、遠隔のデータセンタと連携する方式ではない。
- 2. ピアツーピアあなたの解答 ピアツーピアは対等な端末同士で直接通信を行うネットワーク方式であり、データセンタ等で集中管理する形態ではない。
- 3. シンクライアント正解あなたの解答 空欄(1)に入る用語であり、PC本体にデータを保持せずデータセンタで一括管理し画面表示に利用する形態と合致する。
- 4. エッジコンピューティングあなたの解答 エッジコンピューティングは端末の近くで分散処理を行う技術であり、データセンタ側に処理や保存を集約する形態ではない。
第1章の136問は、登録なしでそのまま解けます。解説と図解も同じ形で付いています。
よくある質問
第1章はほかの章とどうつながっていますか?
第1章で全体の見取り図を持っておくと、第2章以降の個別の話がどこに入るのかが分かります。たとえば、携帯電話サービスの移り変わりは第2章、無線区間の技術は第3章、基地局の先のネットワークは第4章です。
M2M と IoT は何が違いますか?
M2M は、機械どうしが人の手を介さずに情報をやり取りし、自動で監視や制御をするシステムです。IoT は、さまざまなモノをつないで新しい価値を作ることまで含む広い考え方で、M2M は IoT に含まれる概念と整理されています。
第1章は、どこから勉強すればよいですか?
まず端末の分類(情報処理端末・情報通信端末・その他の端末)と、接続機器の3種類を覚えます。そのあとで、ネットワーク、サーバ側、セキュリティの順に進めると、システム全体の中での位置づけがつかみやすくなります。
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出題範囲は、2026年10月26日にMCPC の公式ページで確認しました。用語の説明は、もちこ道場の問題と解説をもとにまとめたものです。