第12章 IoTシステムの要点
デバイス、近距離と広域の通信、プロトコル、応用分野を整理
- 第12章は、IoT の全体像、デバイスとセンサ、近距離と広域の無線通信、プロトコルと遠隔管理、応用分野までの章です。
- LPWA の方式(SIGFOX・LoRaWAN など)、モバイル網の IoT 規格(NB-IoT・RedCap)、プロトコル(MQTT・CoAP・WebSocket)のように、略語の役割の違いが問われます。
- 用語は「どこをつなぐ・何を決める技術か」で6つに分けると、覚えやすくなります。
この章で問われること
第12章「IoTシステム」は、モノをネットワークにつなぐ IoT の構成と技術を扱います。第11章は情報セキュリティ、第13章はモバイルを使ったアプリケーションです。
本番の100問のうち、第12章からは7問前後と予想しています。もちこ道場の模擬試験(100問・100分)は、全13章の範囲の広さに合わせて章ごとの問題数を決めていて、第12章からは7問を出しています。試験全体の約7%にあたります。
もちこ道場の第12章の問題は128問です。本番と同じ5つの形式に分けると、次のようになります。
| 形式 | 問題数 |
|---|---|
| 穴埋め(1か所) | 30問 |
| 穴埋め(組み合わせ) | 30問 |
| 長文(1つの文章に4問) | 8問 |
| 正しい記述を選ぶ | 30問 |
| 誤った記述を選ぶ | 30問 |
出てくる用語は、どこをつなぐ・何を決める技術かで、次の6つのまとまりに分けると整理しやすくなります。
6つのまとまりと押さえる用語
1. IoT の全体像
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| IoT | 多種多様なモノを網につなぎ、データを活用して新しい価値を生む |
| M2M | 機械どうしが自動で制御し合う。IoT の元になった |
| デジタル・ツイン | 現実のデータを集めて、サイバー空間に再現する |
| フィールド領域・インフラストラクチャ領域 | 端末群のある現場と、上位の処理をする側の2つの領域 |
| IoT ゲートウェイ | デバイスと基幹網の間に入る中継装置。プロトコルの変換もする |
| エッジコンピューティング | 端末の近くでデータを処理し、遅延を小さくする |
2. デバイスとセンサ
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| センサ | 外の状態を、扱いやすい電気信号に変える(光センサは明るさ、生体センサは心拍など) |
| ジャイロセンサ | 回転の状態や姿勢を検知する |
| 活動量計 | 体の動きから、歩数や消費カロリーを測るウェアラブル機器 |
| スマートグラス | AR の技術を使う、眼鏡の形のウェアラブル機器 |
| プロトタイピング | 試作を早く作って確かめる。Arduino や Raspberry Pi を使う |
3. 近距離と有線の通信(IoT エリアネットワーク)
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| BLE | 通信距離と速度を抑えて省電力にした Bluetooth。ボタン電池1つで数年動く |
| Wi-SUN | 920MHz 帯を使う近距離無線。ECHONET Lite の下位層になる |
| Zigbee | 低消費電力・低速。ZC・ZR・ZED の役割で網を作る |
| IEEE 802.11ah | サブギガヘルツ帯を使う、長距離向けの無線 LAN |
| PLC | 電力線を通信路にする有線通信。配線工事が不要 |
| ビーコン | BLE のアドバタイズメント・パケットを一方向に送り続け、位置検知や情報配信に使う |
4. 広域の通信(LPWA とモバイル網)
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| LPWA | 省電力で長距離に届く無線技術の総称(SIGFOX・LoRaWAN・ELTRES・ZETA) |
| SIGFOX | アンライセンス帯を使う LPWA。上りの通信のときだけ下りを受ける |
| NB-IoT・eMTC | モバイル網(LTE の基盤)で、省電力・広域の通信をする規格 |
| RedCap | 5G で、端末の能力や速度を絞り、省電力と低コストを実現する |
| mMTC | 5G の、多数同時接続。1km2 あたり100万個以上の接続が可能 |
| LAPI | 大量の IoT の接続による混雑を防ぐため、低優先度の通信を見分ける制御 |
5. プロトコルと遠隔管理
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| MQTT | 軽量な Publish-Subscribe 型のメッセージング。QoS を3段階で設ける |
| CoAP | 制約のある機器向けの軽量なプロトコル |
| XMPP | XML ベースのメッセージング用プロトコル |
| WebSocket | HTML5 の規格。低遅延で効率のよい双方向通信 |
| REST | Web の技術に基づく方式。決まった形で CRUD の操作をする |
| oneM2M | IoT のサービス層を共通化する標準。既存のプロトコルに対応づけて通信する |
| LwM2M・TR-069・OSGi | IoT 機器やゲートウェイの遠隔管理に使う規格 |
| Matter | スマート家電のメーカー間の互換性を確保する共通規格 |
6. 応用分野と安全
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| HEMS | 家庭のエネルギーの使用状況を見える化し、自動で制御する |
| スマートグリッド・デマンドレスポンス | 通信と蓄電を組み合わせた供給の仕組みで、需要と供給のバランスを取る |
| eCall・V2X | 事故のときの通報(eCall)と、車と周囲との通信(V2X) |
| PHR | 個人の健康・医療の情報を、ネットワーク上で共有・活用する |
| SUIIN | Sigfox を使った、浸水検知のサービス |
| NOTICE | 悪用されるおそれのある IoT 機器を調べ、利用者に注意を促す取り組み |
取り違えやすい組み合わせ
選択肢には、似た用語が並びます。次の組み合わせは、「何が違うか」を一言で言えるようにしておきます。
| 組み合わせ | 見分け方 |
|---|---|
| LPWA と BLE | 広域・省電力の通信か、近距離・省電力の通信か |
| NB-IoT と RedCap | LTE の基盤での省電力通信か、5G で能力を絞った規格か |
| MQTT と WebSocket | Publish-Subscribe 型の軽量メッセージングか、HTML5 の双方向通信か |
| LwM2M と oneM2M | 機器の遠隔管理の規格か、サービス層を共通化する標準か |
| ジャイロセンサと光センサ | 回転や姿勢を検知するか、明るさを感知するか |
| フィールド領域とインフラストラクチャ領域 | 端末のある現場か、上位の処理をする側か |
| eCall と V2X | 事故のときの通報か、車と周囲の通信か |
この章の勉強の進め方
- 6つのまとまりの名前を覚え、用語を見たら「どのまとまりの話か」を言えるようにします。
- 上の表の組み合わせを、何も見ずに一言で説明できるか確かめます。
- 問題を解いて、迷った用語をその日のうちに見直します。
勉強の全体の計画は「勉強時間の目安と1か月の計画」にまとめています。
第12章の問題を2問、解いてみる
もちこ道場の第12章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。
問1
IoTの普及に伴い、低速なデータ通信に特化して消費電力を抑えつつ、数km~数10kmの長距離伝送を可能にする無線通信技術である1が注目を集めている。
答えと解説を見る
正解は 2(LPWA)です。
【概要】
IoTシステムでは広範囲に配置されたデバイスとの通信が必要となる。省電力かつ長距離伝送を可能にする無線技術が用いられる。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. LTE-Advancedあなたの解答 LTE-Advancedは移動体通信の高速広帯域規格であり、低速・省電力・長距離伝送に特化した空欄(1)とは異なる。
- 2. LPWA正解あなたの解答 LPWAは低消費電力で数km以上の長距離伝送を実現する無線技術であり空欄(1)に適合する。
- 3. 無線LANあなたの解答 無線LANは高速な中短距離通信向けの規格であり、低速・広域・省電力を特徴とする空欄(1)とは異なる。
- 4. Bluetoothあなたの解答 Bluetoothは数m程度の近距離通信向け技術であり、数km単位の長距離伝送を行う空欄(1)とは異なる。
問2
クラウドまでの伝送遅延を減らし、リアルタイム性を高めるために、IoTデバイスの近く(ネットワークの末端)でデータを処理する仕組みを1と呼ぶ。
答えと解説を見る
正解は 1(エッジコンピューティング)です。
【概要】
エッジコンピューティングはネットワークの端末近くでデータ処理を行う技術である。クラウド伝送の遅延を抑えリアルタイム性を高める。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. エッジコンピューティング正解あなたの解答 エッジコンピューティングは端末に近い側でデータ処理を行い伝送遅延を低減するため空欄(1)の記述に適合する。
- 2. グリッドコンピューティングあなたの解答 グリッドコンピューティングは多数の計算機を網で接続し並列処理する方式であり、端末近くで処理を行う空欄(1)と異なる。
- 3. 量子コンピューティングあなたの解答 量子コンピューティングは量子力学の原理を利用して高度な計算を行う方式であり、処理位置に関する空欄(1)とは異なる。
- 4. クライアント・サーバモデルあなたの解答 クライアント・サーバモデルはサービスを要求するクライアントと提供するサーバに役割を分ける構成であり、低遅延処理技術を示す空欄(1)と異なる。
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よくある質問
IoT と M2M は、何が違いますか?
M2M は、機械どうしが自動で制御し合うしくみです。IoT は、多種多様なモノを網につなぎ、データを活用して新しい価値を作る考え方で、M2M から発展しました。
LPWA は、近距離の無線とどう違いますか?
LPWA は、省電力で遠くまで届く無線技術の総称で、SIGFOX、LoRaWAN、ELTRES、ZETA などの方式があります。BLE や Wi-SUN、Zigbee は、IoT エリアネットワークで使う近距離の規格です。
IoT ゲートウェイとエッジコンピューティングは、何が違いますか?
IoT ゲートウェイは、デバイスと基幹網の間に入って中継し、プロトコルの変換などもする装置です。エッジコンピューティングは、端末の近くでデータを処理して、伝送の遅延を小さくする考え方です。
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