第11章 情報セキュリティの要点
攻撃、暗号、認証、無線LAN、端末管理を整理
- 第11章は、考え方(機密性・完全性・可用性)から、攻撃、暗号と署名、認証、通信の保護、端末と個人情報の管理までの章です。もちこ道場の模擬試験では、全13章の中で最も多い10問を割り当てています。
- 多要素認証と多段階認証、公開鍵暗号と共通鍵暗号、ブルースナーフィングとブルージャッキングのような、似た言葉の違いが問われます。
- 用語は「何を守る・何を確かめる技術か」で6つに分けると、覚えやすくなります。
この章で問われること
第11章「情報セキュリティ」は、モバイル環境で情報を守る考え方と、攻撃、暗号、認証、通信の保護、端末の管理、個人情報の扱いを扱います。
本番の100問のうち、第11章からは10問前後と予想しています。もちこ道場の模擬試験(100問・100分)は、全13章の範囲の広さに合わせて章ごとの問題数を決めていて、第11章からは全13章で最も多い10問を出しています。試験全体の約10%にあたります。
もちこ道場の第11章の問題は128問です。本番と同じ5つの形式に分けると、次のようになります。
| 形式 | 問題数 |
|---|---|
| 穴埋め(1か所) | 30問 |
| 穴埋め(組み合わせ) | 30問 |
| 長文(1つの文章に4問) | 8問 |
| 正しい記述を選ぶ | 30問 |
| 誤った記述を選ぶ | 30問 |
出てくる用語は、何を守る・何を確かめる技術かで、次の6つのまとまりに分けると整理しやすくなります。
6つのまとまりと押さえる用語
1. 考え方と法令
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 機密性・完全性・可用性 | 情報セキュリティの3要件。完全性は、内容が壊れたり改ざんされたりしないこと |
| ゼロトラスト | 境界の内外を問わず、すべてのアクセスを信用せずに検証する |
| ベースラインアプローチ | 標準の基準を参照して、対策を決めるリスク分析の手法 |
| 要配慮個人情報 | 取り扱いに配慮が必要な個人情報 |
| 仮名加工情報 | 他の情報と照合しなければ、個人を識別できないように加工した情報 |
| GDPR | 欧州の個人データ保護の規則。域外の企業にも影響する |
| プライバシーマーク | 個人情報を適切に管理している事業者を、第三者の審査で認定する制度 |
2. 攻撃と脅威
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| スミッシング | SMS を悪用して、個人情報などをだまし取る |
| ランサムウェア | 端末のデータを暗号化して使えなくし、金銭を要求する |
| キーロガー | キー入力を記録して、ID やパスワードを盗む |
| 中間者攻撃 | 通信の途中に割り込んで、盗聴や改ざんをする |
| ブルースナーフィング | Bluetooth の弱点を突き、情報を無断で盗む |
| ブルージャッキング | Bluetooth で、勝手にメッセージを送りつける |
| サプライチェーン攻撃 | 業務上の関連組織を足がかりにして侵入する |
3. 暗号と署名
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 公開鍵暗号方式 | 暗号化と復号に、対になる別の鍵を使う(公開鍵で暗号化したら秘密鍵でしか復号できない) |
| 共通鍵暗号方式 | 暗号化と復号に、同じ鍵を使う |
| ハッシュ化 | 任意の長さのデータを固定長の値に不可逆に変え、改ざんの検知に使う |
| 電子署名 | 公開鍵暗号とハッシュを使い、作成者本人と非改ざんを証明する |
| CA(認証局) | 公開鍵証明書を発行し、公開鍵が正しいことを保証する第三者機関 |
| 暗号 2030 年問題 | 量子コンピュータで現行の公開鍵暗号が解読されるおそれ。耐量子暗号への移行が課題 |
4. 認証
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 多要素認証 | 異なる種類の要素を組み合わせて本人確認をする |
| 多段階認証 | 単一の要素を、段階を分けて確かめる |
| シングルサインオン | 一度の認証で、連携する複数のサービスを使えるようにする |
| FIDO 認証 | 手元の認証器で本人確認をし、認証の結果だけをサーバへ送る(パスワードレス) |
| パスキー | FIDO の標準に基づく、パスワード不要の認証 |
| リスクベース認証 | いつもと違うアクセスのときだけ、追加の認証を求める(3D セキュア 2.0 など) |
5. 通信の保護
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| SAE | WPA3 の認証。パスフレーズを直接流さずにやり取りする |
| PMF | WPA3 で必須の、管理フレームの暗号化保護 |
| Wi-Fi CERTIFIED Enhanced Open | 公衆無線 LAN で、事前の設定なしに個別の暗号化をする |
| CCMP | AES を使う、強固な暗号化方式 |
| SSL-VPN・IPsec-VPN・L2TP | SSL-VPN は証明書で TCP 上を暗号化。L2TP は暗号化機能がなく、IPsec と組み合わせる |
| DMARC | SPF や DKIM をまとめ、メールのなりすましを防ぐドメイン認証 |
6. 端末とログの管理
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| EMM | 端末・アプリ・コンテンツを一元管理する。MDM、MAM、MCM などで構成される |
| シンクライアント・VDI | 端末にデータを残さず、サーバ上の環境を画面転送で使う |
| TPM | 暗号鍵を安全にしまい、OS 起動時の不正な変更も確かめるチップ |
| SBOM・SCA | ソフトウェアの部品の一覧表(SBOM)と、それを作り脆弱性を調べるツール(SCA) |
| SOC・SIEM | ログやイベントを集めて監視し、脅威を早く見つける |
取り違えやすい組み合わせ
選択肢には、似た用語が並びます。次の組み合わせは、「何が違うか」を一言で言えるようにしておきます。
| 組み合わせ | 見分け方 |
|---|---|
| 公開鍵暗号と共通鍵暗号 | 別の鍵の対を使うか、同じ鍵を使うか |
| 多要素認証と多段階認証 | 異なる種類の要素か、単一の要素を段階で確かめるか |
| ブルースナーフィングとブルージャッキング | 情報を盗むか、メッセージを送りつけるか |
| ハッシュ化と暗号化 | 元に戻せない変換(改ざんの検知)か、鍵で元に戻せる変換か |
| SOC・SIEM と EMM | ログを集めて脅威を見つけるか、端末を一元管理するか |
| MDM・MAM・MCM | 端末・アプリ・コンテンツのどれを管理するか |
| SBOM と SCA | 部品の一覧表か、それを作って調べるツールか |
この章の勉強の進め方
- 6つのまとまりの名前を覚え、用語を見たら「どのまとまりの話か」を言えるようにします。
- 上の表の組み合わせを、何も見ずに一言で説明できるか確かめます。
- 問題を解いて、迷った用語をその日のうちに見直します。
勉強の全体の計画は「勉強時間の目安と1か月の計画」にまとめています。
第11章の問題を2問、解いてみる
もちこ道場の第11章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。
問1
インターネットなどで不特定多数と安全に通信を行うため、暗号化用と復号用に異なる一対の鍵を使用する暗号方式を1という。代表的なものにRSAなどがある。
答えと解説を見る
正解は 1(公開鍵暗号方式)です。
【概要】
暗号化と復号で異なる一対の鍵を用いる暗号技術に関する問題である。不特定多数との通信における安全な鍵管理を実現する。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. 公開鍵暗号方式正解あなたの解答 公開鍵暗号方式は異なる一対の鍵を用いる暗号方式のため本文の空欄(1)の記述に合致する。
- 2. 共通鍵暗号方式あなたの解答 共通鍵暗号方式は暗号化と復号に同一の鍵を使用する方式であり、一対の異なる鍵を用いる空欄(1)に合致しない。
- 3. ハッシュ化あなたの解答 ハッシュ化はデータを平文に戻せない固定長の値へ不可逆変換する処理であり、復号を前提とする空欄(1)に合致しない。
- 4. 秘密鍵暗号方式あなたの解答 秘密鍵暗号方式は単一の共通鍵を用いて通信する方式であり、異なる対の鍵を用いる空欄(1)に合致しない。
問2
セキュリティを向上させるため、知識情報、所持情報、生体情報という異なる要素のうち複数を用いて本人確認を行う仕組みを1と呼ぶ。
答えと解説を見る
正解は 4(多要素認証)です。
【概要】
多要素認証は複数の異なる認証要素を組み合わせて本人確認を行う手法である。単一要素による認証よりも高い安全性を確保する。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. リスクベース認証あなたの解答 リスクベース認証は通常と異なる挙動を検知した際に追加認証を行う方式であり、複数要素を組み合わせる空欄(1)と異なる。
- 2. 多段階認証あなたの解答 多段階認証は同一の要素を段階的に重ねて認証する方式であり、異なる要素を複数組み合わせる空欄(1)と異なる。
- 3. シングルサインオンあなたの解答 シングルサインオンは1回の認証で複数システムを利用可能にする仕組みであり、複数要素の本人確認を示す空欄(1)と異なる。
- 4. 多要素認証正解あなたの解答 多要素認証は知識・所持・生体情報から異なる複数要素を組み合わせて本人確認を行うため空欄(1)に適合する。
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よくある質問
多要素認証と多段階認証は、何が違いますか?
多要素認証は、異なる属性の要素を組み合わせて認証の強さを高めます。多段階認証は、単一の要素を段階的に確かめるものです。問題では「異なる要素か」が分かれ目になります。
電子署名は、どの鍵で何をするのですか?
送信者が自分の秘密鍵でハッシュ値を暗号化して署名を作り、受信者が送信者の公開鍵で復号して確かめます。これで、作成者本人であることと、改ざんされていないことを示せます。
情報セキュリティは、ほかの章とどうつながっていますか?
第8章の OTA やサンドボックス、第10章の AI の安全な運用、第12章の IoT の設計段階からの対策、第13章のゼロトラストや BYOD でも、この章の考え方が出てきます。ここで基本をそろえておくと読みやすくなります。
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