第10章 生成AIとAI活用の要点
機械学習、LLM、RAG、AI の安全な運用を整理

更新日 2026年10月26日 読む時間の目安 約6分
この記事の要点
  • 第10章は、機械学習とディープラーニングの基本から、大規模言語モデル(LLM)、その使い方と作り方、AI の安全な運用と規制までの章です。
  • ファインチューニングと転移学習、RAG と ICL、AI 支援開発と AI 駆動開発のような、似た言葉の違いが問われます。
  • 用語は「何を決める・何を足す技術か」で6つに分けると、覚えやすくなります。
この記事の目次
  1. この章で問われること
  2. 6つのまとまりと押さえる用語
  3. 取り違えやすい組み合わせ
  4. この章の勉強の進め方
  5. 第10章の問題を解いてみる
  6. よくある質問

この章で問われること

第10章「生成AIとAI活用」は、AI の種類と学び方、LLM のしくみと使い方、AI を使った開発、安全な運用と規制を扱います。第9章までは通信やコンテンツ、第11章は情報セキュリティです。

本番の100問のうち、第10章からは8問前後と予想しています。もちこ道場の模擬試験(100問・100分)は、全13章の範囲の広さに合わせて章ごとの問題数を決めていて、第10章からは8問を出しています。試験全体の約8%にあたります。

もちこ道場の第10章の問題は128問です。本番と同じ5つの形式に分けると、次のようになります。

形式 問題数
穴埋め(1か所) 30問
穴埋め(組み合わせ) 30問
長文(1つの文章に4問) 8問
正しい記述を選ぶ 30問
誤った記述を選ぶ 30問

出てくる用語は、何を決める・何を足す技術かで、次の6つのまとまりに分けると整理しやすくなります。

第10章の用語の6つのまとまり 1. 分析と学習 機械学習・ディープラーニング 2. LLM のしくみ トークン・創発性 3. 使いこなす プロンプト・RAG・ICL 4. 進化した AI 推論型・VLM・エージェント 5. AI と開発 AI 支援・AI 駆動・Dify 6. 安全と規制 ガードレール・AI Act
第10章の用語の6つのまとまり(もちこ道場のまとめ)

6つのまとまりと押さえる用語

1. データ分析と機械学習

用語 ひとことで
統計解析 既知のデータを数理統計で分析し、特性を説明する
機械学習 データから学習済みモデルを作り、未知のデータの予測や分類をする
ディープラーニング 多層のニューラルネットワークで、特徴量をデータから自動で取り出す
強化学習 行動の報酬が最大になるよう、試行錯誤して学ぶ
転移学習 既存の学習済みモデルに、既知のデータだけを追加で学習させる
CNN・RNN CNN は画像認識に、RNN は音声やテキストなどの時系列データに向く
データクレンジング 欠損を補い、ノイズを除いて、学習に合う形に整える

2. LLM のしくみ

用語 ひとことで
トランスフォーマー 単語どうしの関係に重みを付ける構造。GPT の「T」にあたる
トークン LLM が扱う言葉の単位。文法ではなく、出現の頻度で区切る
パラメータ数 モデルの中の学習できる値の数。LLM の規模や能力の目安
創発性 規模が大きくなると、学習していない事柄も類推して答えるようになる現象
事前学習 大量のデータで、あらかじめ言葉のパターンを学ばせる
ハルシネーション 未学習のことを聞かれて、もっともらしい誤りを作ってしまう現象

3. LLM を使いこなす・カスタマイズする

用語 ひとことで
プロンプトエンジニアリング 望む結果を得るために、指示の出し方を工夫する
CoT 複雑な問題を、段階を追って考えさせる
ロールの明確化 演じさせる役割を指定し、その知識や文体で答えさせる
ICL 指示の中に例や情報を直接書く、手軽な方法(プロンプトの上限までしか足せない)
RAG 回答を作るとき、外部のデータベースを検索して参照する
ベクトル DB 言葉の意味の近さで検索できる。RAG の外部知識によく使われる
ファインチューニング 教師ありデータで再学習させ、特定のタスクに特化させる

4. 進化した生成 AI

用語 ひとことで
推論型 LLM 指示しなくても、内部で思考の連鎖(CoT)を作って推論する
マルチモーダル LLM テキストのほか、画像や音声など複数の形式を一緒に処理する
VLM 画像や動画の情報と言語の情報を結びつけて処理する
端末操作エージェント 自然言語の指示で、端末上の複雑な操作を自動で実行する(RPA は決まった手順の自動化)
説明可能な AI(XAI) ディープラーニングの判断の根拠を見える形にする

5. AI を使った開発

用語 ひとことで
AI 支援開発 人間が主体で、AI がコード補完などで手伝う
AI 駆動開発 AI が主体で、人間は品質の確認や課題の調整に集中する
Dify GUI のワークフローとプロンプトで、プログラミングなしに AI アプリを作る基盤
チャット UI 過去のやり取りをプロンプトに足して、文脈を保つ(LLM そのものは会話を覚えない)

6. 安全な運用と規制

用語 ひとことで
AI 原則 公正性、説明責任、透明性、安全性などの共通のルール
ガードレール 入力や出力を監視し、不正な指示や有害な表現を防ぐ
Human-in-the-Loop 人間による確認や承認を、あえて処理の中に組み込む
レッドチーム検証 安全面の弱点を、攻める立場で探して確かめる
AI Act EU の法律。用途を4段階のリスクに分けて規制する
協調型規制 日本の考え方。EU は段階的な規制、米国は指針が中心

取り違えやすい組み合わせ

選択肢には、似た用語が並びます。次の組み合わせは、「何が違うか」を一言で言えるようにしておきます。

組み合わせ 見分け方
統計解析と機械学習 説明する(統計解析)か、予測や分類をする(機械学習)か
ファインチューニングと転移学習 教師ありデータで特定のタスクに特化させるか、既存のモデルに既知のデータを追加するか
RAG と ICL 外部のデータベースを検索するか、指示の中に情報を直接書くか
事前学習とファインチューニング 大量のデータであらかじめ学ぶか、その後に特定の目的で追加して学ぶか
AI 支援開発と AI 駆動開発 主体が人間か、AI か
CNN と RNN 画像(CNN)か、時系列のデータ(RNN)か
端末操作エージェントと RPA 自然言語の指示で動くか、決まった手順を自動化するか

この章の勉強の進め方

  1. 6つのまとまりの名前を覚え、用語を見たら「どのまとまりの話か」を言えるようにします。
  2. 上の表の組み合わせを、何も見ずに一言で説明できるか確かめます。
  3. 問題を解いて、迷った用語をその日のうちに見直します。

勉強の全体の計画は「勉強時間の目安と1か月の計画」にまとめています。

第10章の問題を2問、解いてみる

もちこ道場の第10章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。

問1

生成AIサービスを構築する際、LLMの能力を補い、最新でより正確な情報を生成できるように、リアルタイムのWeb検索や専門データベースなどの外部知識とLLMを連携させる代表的な手法を1と呼びます。

答えと解説を見る

正解は 3(RAG)です。

【概要】

RAGは外部データベース等の知識を参照して回答を生成する手法である。LLMの最新情報不足を補い正確性を高める。

【図解】実験的機能

生成AIサービスの構成・ハルシネーションと RAG・LLM のカスタマイズ手法 生成AIサービスの構成・ハルシネーションと RAG・LLM のカスタマイズ手法

図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。

【各選択肢の解説】

  • 1. CNNあなたの解答 CNNは画像認識に高い精度を示す畳み込みニューラルネットワークであり、外部知識とLLMを連携させる空欄(1)とは一致しない。
  • 2. RNNあなたの解答 RNNは時系列データの処理に適した再帰型ニューラルネットワークであり、外部のデータベースとLLMを連携する空欄(1)とは一致しない。
  • 3. RAG正解あなたの解答 RAGは外部知識を検索して参照し回答を生成することでLLMを補完する手法であり空欄(1)の記述に適合する。
  • 4. CoTあなたの解答 CoTは複雑なタスクを段階的に推論させるプロンプトの手法であり、外部データベース等の知識と連携させる空欄(1)とは一致しない。

問2

生成AIの学習において、事前学習の後に「教師ありデータ」を用いて追加学習を行い、チャットボットとしての振る舞いや翻訳といった、特定のタスクでの振る舞いを身につけさせるプロセスを1と呼びます。

答えと解説を見る

正解は 1(ファインチューニング)です。

【概要】

ファインチューニングは事前学習の後に教師ありデータで追加学習を行い、チャットボットや翻訳など特定タスクでの振る舞いを習得させる学習である。

【図解】実験的機能

LLM の学習の3段階と推論 LLM の学習の3段階と推論

図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。

【各選択肢の解説】

  • 1. ファインチューニング正解あなたの解答 ファインチューニングは事前学習後に特定タスク向けに追加学習させる手法のため空欄(1)に合致する。
  • 2. ディープラーニングあなたの解答 ディープラーニングは多層ニューラルネットワークによる学習全般であり、追加調整の空欄(1)に合致しない。
  • 3. 強化学習あなたの解答 強化学習は報酬に基づき行動を最適化する手法であり、教師あり追加学習を行う空欄(1)に合致しない。
  • 4. 事前学習あなたの解答 事前学習は大量データで基礎知識を学習させる初期段階であり、追加調整の空欄(1)に合致しない。
問題を解いて確かめる

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よくある質問

統計解析と機械学習は、何が違いますか?

統計解析は、既知のデータを数理統計の考え方で分析し、現象を説明する手法です。機械学習は、データから自動で規則を学び、未知のデータの予測や分類を行う手法です。説明することが目的か、予測することが目的かで見分けます。

RAG とファインチューニングは、どちらも LLM を良くする方法ですか?

そうですが、やり方が違います。RAG は回答を作るときに外部のデータベースを検索して参照するので、モデルの再学習が要りません。ファインチューニングは、教師ありデータでモデルを再学習させて、特定のタスクに強くします。

第10章は、第11章のセキュリティとつながりますか?

つながります。第10章の後半にあるガードレールや Human-in-the-Loop は、AI を安全に使うための対策です。情報を守る一般的な対策は第11章で扱います。

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出典・注記

出題範囲は、2026年10月26日にMCPC の公式ページで確認しました。用語の説明は、もちこ道場の問題と解説をもとにまとめたものです。

  1. モバイルシステム技術検定2級(MCPC 公式)