第6章 モバイル端末・機器のハードウェア技術の要点
RISC、有機EL、リチウムイオン電池、C-DRX を整理

更新日 2026年10月26日 読む時間の目安 約6分
この記事の要点
  • 第6章は、スマートフォンなどの中身の部品の章です。プロセッサ、メモリ、ディスプレイ、電池、SIM、アンテナ、外部インタフェースまで出ます。
  • SRAM と DRAM、ドーマントと C-DRX、DSDS・DSDV・DSDA のように、似た名前の用語の違いが問われます。
  • 用語は「端末のどの部品の話か」で6つに分けると、覚えやすくなります。
この記事の目次
  1. この章で問われること
  2. 6つのまとまりと押さえる用語
  3. 取り違えやすい組み合わせ
  4. この章の勉強の進め方
  5. 第6章の問題を解いてみる
  6. よくある質問

この章で問われること

第6章「モバイル端末・機器のハードウェア技術」は、スマートフォンなどの端末の中に入っている部品と、その仕組みを扱います。ソフトウェアや周辺技術は第7章、端末の種類は第1章で扱っています。

本番の100問のうち、第6章からは7問前後と予想しています。もちこ道場の模擬試験(100問・100分)は、全13章の範囲の広さに合わせて章ごとの問題数を決めていて、第6章からは7問を出しています。試験全体の約7%にあたります。

もちこ道場の第6章の問題は132問です。本番と同じ5つの形式に分けると、次のようになります。

形式 問題数
穴埋め(1か所) 30問
穴埋め(組み合わせ) 30問
長文(1つの文章に4問) 12問
正しい記述を選ぶ 30問
誤った記述を選ぶ 30問

出てくる用語は、端末のどの部品の話かで、次の6つのまとまりに分けると整理しやすくなります。

第6章の用語の6つのまとまり 1. プロセッサ RISC・SoC・NPU 2. メモリと記憶 DRAM・フラッシュ・SSD 3. 表示・入力・カメラ 有機EL・静電容量・CMOS 4. 電池と省電力 リチウムイオン・C-DRX 5. SIM・アンテナ・認証 eSIM・PIFA・RFID 6. 外部インタフェース USB PD・Bluetooth
第6章の用語の6つのまとまり(もちこ道場のまとめ)

6つのまとまりと押さえる用語

1. プロセッサ

用語 ひとことで
RISC 命令を単純にして高速に処理する。省電力に向き、モバイルの主流
CISC 1つの命令で複雑な処理ができる設計
SoC CPU や GPU などの機能を1つのチップに集める。基板を小さくし、省電力にする
ベースバンドチップ 小型のプロセッサと、無線通信を制御する回路を一体にした LSI
NPU 行列演算などを効率よく行う、AI 処理向けのプロセッサ
コア数 パッケージの中のコアの数で呼び方が決まる(クアッドコアなど)

性能の目安には、レジスタ長・バス幅・動作周波数・コア数などがあります。

2. メモリと記憶装置

用語 ひとことで
SRAM 電源を切ると消える揮発性メモリ。高速
DRAM 電源を切ると消える揮発性メモリ。大容量にしやすい
フラッシュメモリ 電源を切っても残る不揮発性メモリ
マスクROM 製造のときにデータが固定される読み出し専用メモリ。大量生産で安い
SSD フラッシュメモリを使う記憶装置。可動部がなく、衝撃や省電力に強い
メモリカード フラッシュメモリを入れた小型の記憶媒体(SDXC など、容量の規格がある)

3. 表示・入力・カメラ

用語 ひとことで
TFT液晶 1画素ごとにトランジスタを置き、光の透過を細かく制御する
有機EL 電圧で自分から光る有機化合物を使う。バックライトがいらない
静電容量式 指が触れたときの微小な電流の変化を検知するタッチパネル
CMOS カメラの撮像素子。低消費電力で、集積度が高く、モバイルで広く使われる
OCR 撮影した画像の文字を、テキストのデータとして取り出す

4. 電池と省電力

用語 ひとことで
リチウムイオン電池 エネルギー密度が高く、自己放電が少ない。モバイルの主な電源
全固体電池 固体の電解質を使う次世代の電池。燃えにくく、安全性が高い
ドーマント 通信がない間に電波の送信を止める。接続が切れていないように見せかけ、早く復帰できる
C-DRX 間欠受信で、受信の動作を減らす
送信電力制御 送信の電力を調整して、電池の消費を減らす
スリープモード 動かさないときに、休止状態にして節電する

5. SIM・アンテナ・認証

用語 ひとことで
USIM SIM を拡張したもの。契約者の情報を暗号化して記憶できる
eSIM 端末に内蔵された SIM。遠隔操作でプロファイルを書き込める
デュアルSIM 1台に2枚の SIM を入れる。DSDS・DSDV・DSDA など、同時待ち受けや同時通信の可否で分ける
PIFA 板状逆Fアンテナ。筐体の中に収まる小型の内蔵アンテナ
AiP アンテナを IC のパッケージと一体にして、ミリ波の損失を抑える
虹彩認証 瞳孔のまわりのパターンを撮影して、本人を確かめる
RFID IC チップとアンテナで、ID を非接触で識別する。電池のないパッシブ型と、電池のあるアクティブ型がある

6. 外部インタフェース

用語 ひとことで
USB PD USB Type-C に対応した給電の規格。1本のケーブルで大きな電力を送れる
Bluetooth 2.4GHz 帯の電波で、数メートルの近距離にある機器をつなぐ
NFC かざして使う、近距離の無線通信
オーディオ端子 4極の端子で、極の割り当てにより CTIA 規格と OMTP 規格などに分かれる

取り違えやすい組み合わせ

選択肢には、同じまとまりの用語が並びます。次の組み合わせは、「何が違うか」を一言で言えるようにしておきます。

組み合わせ 見分け方
RISC と CISC 命令を単純にして高速・省電力にする(RISC)か、1命令で複雑な処理をする(CISC)か
SRAM・DRAM とフラッシュメモリ 電源を切ると消える(SRAM・DRAM)か、残る(フラッシュ)か
ドーマントと C-DRX 電波の送信を止める(ドーマント)か、間欠受信で受信を減らす(C-DRX)か
DSDV と DSDS DSDV は2つの SIM で VoLTE の同時待ち受けができるが、同時通話はできない
パッシブ型とアクティブ型の RFID 外部の電波を電力に変えて動く(パッシブ)か、電池を内蔵する(アクティブ)か
有機EL と TFT液晶 自分から光る(有機EL)か、光の透過を制御する(TFT液晶)か
SoC とベースバンドチップ 機能を1チップに集める(SoC)か、プロセッサと無線の制御回路を一体にした(ベースバンド)か

この章の勉強の進め方

  1. 6つのまとまりの名前を覚え、用語を見たら「どの部品の話か」を言えるようにします。
  2. 上の表の組み合わせを、何も見ずに一言で説明できるか確かめます。
  3. 問題を解いて、迷った用語をその日のうちに見直します。

勉強の全体の計画は「勉強時間の目安と1か月の計画」にまとめています。

第6章の問題を2問、解いてみる

もちこ道場の第6章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。

問1

モバイル端末向けのプロセッサとして、複雑な機構を持たず、単純な命令を並行処理しながら高速に繰り返すことで小型化と低消費電力に向いている1型プロセッサが主に採用されている。

答えと解説を見る

正解は 1(RISC)です。

【概要】

モバイル用プロセッサには低消費電力に優れた設計が求められる。単純な命令群を高速処理するRISC型構造が主流である。

【図解】実験的機能

プロセッサの種類(CISC・RISC)と性能指標 プロセッサの種類(CISC・RISC)と性能指標

図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。

【各選択肢の解説】

  • 1. RISC正解あなたの解答 RISCは単純な命令を高速実行する低消費電力なプロセッサ構造であり、空欄(1)の記述に適合する。
  • 2. CISCあなたの解答 CISCは高機能で複雑な命令体系を持つアーキテクチャであり、単純命令を並行処理する空欄(1)のプロセッサとは異なり誤りである。
  • 3. SoCあなたの解答 SoCは主要機能を1チップに集積した統合半導体であり、命令セットのアーキテクチャを示す空欄(1)とは異なり誤りである。
  • 4. GPUあなたの解答 GPUは画像描画や並列計算処理に特化した演算装置であり、システム全体の主プロセッサ型を示す空欄(1)とは異なり誤りである。

問2

LTE以降の通信機器において、端末が常に電波を受信するのではなく、一定間隔でスリープ状態になり、必要な時にだけ起きて通信することで電力消費を抑える技術を1という。

答えと解説を見る

正解は 3(C-DRX)です。

【概要】

LTE等で端末の電力消費を抑える受信制御技術に関する問題である。間欠受信により不必要な受信動作を省く。

【図解】実験的機能

モバイル端末の省電力技術 モバイル端末の省電力技術

図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。

【各選択肢の解説】

  • 1. ページングあなたの解答 ページングは網側から端末を一斉呼び出しする手続きであり、端末の省電力受信技術ではない。
  • 2. ドーマントあなたの解答 ドーマントは送受信データがない時に電波の送信を止める技術であり、一定間隔で起きて受信する技術ではない。
  • 3. C-DRX正解あなたの解答 C-DRXは一定間隔でスリープし必要時に起きて通信する省電力技術のため空欄(1)に合致する。
  • 4. スリープモードあなたの解答 スリープモードは機器全体の動作休止状態であり、通信の接続中に一定間隔で制御する技術ではない。
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よくある質問

第6章はどの章とつながっていますか?

第1章で端末の種類を、第5章でインターネットの仕組みを学びました。第6章はその端末の中の部品の章で、続く第7章では、端末まわりのソフトウェアや周辺の技術を扱います。

ドーマントと C-DRX は何が違いますか?

どちらも電池の消費を抑える技術です。ドーマントは、データのやり取りがない間に電波の送信を止め、接続が切れていないように見せかけます。C-DRX は、間欠受信で、必要のない受信の動作を省きます。

揮発性メモリと不揮発性メモリは何が違いますか?

揮発性メモリは、電源を切ると記憶が消えます。SRAM や DRAM がそうです。不揮発性メモリは、電源を切っても記憶が残ります。フラッシュメモリやマスクROMがそうです。

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出典・注記

出題範囲は、2026年10月26日にMCPC の公式ページで確認しました。用語の説明は、もちこ道場の問題と解説をもとにまとめたものです。

  1. モバイルシステム技術検定2級(MCPC 公式)