第5章 インターネット基盤技術の要点
TCP と UDP、NAT、IPv6、DNS、SIP を整理
- 第5章は、モバイルの通信も使っているインターネットの基本の仕組みの章です。階層モデル、LAN、IPアドレス、ルーティング、TCP と UDP、DNS、VoIP や映像配信まで出ます。
- TCP と UDP、NAT と NAPT、RIP・OSPF・BGP、SIP と RTSP のように、似た用語の違いが問われます。
- 用語は「どの階層の、何のための仕組みか」で6つに分けると、覚えやすくなります。
この章で問われること
第5章「インターネット基盤技術」は、モバイルの通信もその上で動いている、インターネットの基本の仕組みを扱います。LAN、IPアドレス、経路の選び方、TCP と UDP、DNS や Web、IP電話や映像配信までを順に見ていきます。基地局の先のコアネットワークは第4章、端末のハードウェアは第6章です。
本番の100問のうち、第5章からは8問前後と予想しています。もちこ道場の模擬試験(100問・100分)は、全13章の範囲の広さに合わせて章ごとの問題数を決めていて、第5章からは8問を出しています。試験全体の約8%にあたります。
もちこ道場の第5章の問題は136問です。本番と同じ5つの形式に分けると、次のようになります。
| 形式 | 問題数 |
|---|---|
| 穴埋め(1か所) | 30問 |
| 穴埋め(組み合わせ) | 30問 |
| 長文(1つの文章に4問) | 16問 |
| 正しい記述を選ぶ | 30問 |
| 誤った記述を選ぶ | 30問 |
出てくる用語は、どの階層の何のための仕組みかで、次の6つのまとまりに分けると整理しやすくなります。
6つのまとまりと押さえる用語
1. 階層モデルと標準化
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| TCP/IP プロトコルセット | 通信の機能を4つの階層に分けて決めたもの |
| OSI 参照モデル | 通信の機能を7つの階層に分けて決めたもの |
| インターネットワーク層 | TCP/IP の階層のひとつ。IP アドレスでパケットを届ける(OSI のネットワーク層に当たる) |
| プレゼンテーション層 | OSI の階層のひとつ。データの表し方を、アプリに依存しない形で決める |
| カプセル化 | 上の階層のデータを、下の階層のヘッダで包んで送る |
| IETF・RFC | インターネットの技術を標準化する組織と、その仕様の文書 |
2. LAN とイーサネット
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| ハブ | イーサネットで複数の機器をつなぐ集線装置(リピータハブとスイッチングハブがある) |
| MACアドレス | 機器に固有の物理アドレス。48ビットで、上位は組織を表す OUI |
| VLAN | スイッチにつないだ端末を、論理的にグループに分ける。ブロードキャストの範囲を狭める |
| CSMA/CD | 有線LANで、衝突を検出する制御 |
| CSMA/CA | 無線LANで、送る前に電波を確かめ、ランダムな待ち時間を置いて衝突を避ける |
| PPPoE・IPoE | PPP をイーサネットに拡張したのが PPPoE。IPoE は ID・パスワードの認証がいらない |
3. IP アドレスと周辺の仕組み
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| IPv4・IPv6 | IPv4 のアドレスは32ビット、IPv6 は128ビット。互換性はない |
| サブネットマスク・CIDR | クラスにとらわれず、アドレスのネットワーク部とホスト部を柔軟に分ける |
| NAT・NAPT | IP アドレスを変換する。NAPT はポート番号も使い、ひとつのアドレスを複数台で共有する |
| DHCP | 端末に IP アドレスやゲートウェイの情報を、自動で割り当てる |
| ARP | IP アドレスと MAC アドレスを結びつける |
| ICMP | エラーの通知や、ping などの診断に使う |
| TTL | ルータを通るたびに1減り、ゼロで破棄される。パケットが回り続けるのを防ぐ |
| デュアルスタック | ひとつの機器で IPv4 と IPv6 の両方を動かす(移行期の共存技術) |
| NDP | IPv6 で、ルータ広告などを使って、アドレスなどの情報を自動で得る |
4. 経路と転送
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| RIP | ルータどうしで経路を交換する。ホップ数を目安にする |
| OSPF | コスト値を目安にして、すべてのリンクの状態から最適な経路を決める |
| BGP | 異なるネットワークの間で使う EGP の代表。TCP を使い、変わった差分だけを交換する |
| IGP・EGP | 同じネットワークの中で使う(IGP)か、ネットワークの間で使う(EGP)か |
| TCP | コネクションを作り、届いたかを確かめ、必要なら再送する。ウインドウ制御で効率よく送る |
| UDP | 確認や再送をせず、リアルタイム性や効率を優先する |
| ポート番号 | 通信するプログラムを見分ける数値。0〜65535 番。0〜1023 番はウェルノウンポート |
5. Web とメール
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| DNS | ドメイン名と IP アドレスを対応づける(名前解決) |
| HTTP・HTTPS | Web のデータをやり取りする。HTTPS は暗号化し、TCP の 443 番を使う |
| HTTP/3・QUIC | HTTP/3 は、UDP をもとにした QUIC を使って、遅延を減らす |
| SMTP | メールの送信に使う |
| POP3・IMAP | メールの受信に使う |
6. 音声と映像
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| VoIP | IP の網の上で、音声通話を行う |
| SIP | VoIP などで、接続の確立や切断の手順(呼制御)を担う |
| RTSP | マルチメディアサーバを遠隔で操作する |
| WebRTC | Web ブラウザの間で、プラグインなしに音声や映像をリアルタイムでやり取りする |
| HLS | HTTP を使って、通常の Web サーバから動画を配信する |
| QoS 制御 | 音声や動画のパケットを、データより優先して送る |
取り違えやすい組み合わせ
選択肢には、同じまとまりの用語が並びます。次の組み合わせは、「何が違うか」を一言で言えるようにしておきます。
| 組み合わせ | 見分け方 |
|---|---|
| TCP と UDP | 確認と再送で信頼性を重視する(TCP)か、省いて効率と即時性を重視する(UDP)か |
| NAT と NAPT | アドレスだけを変える(NAT)か、ポート番号も使って1つのアドレスを共有する(NAPT)か |
| CSMA/CD と CSMA/CA | 有線で衝突を検出する(CD)か、無線で衝突を避ける(CA)か |
| RIP・OSPF・BGP | ホップ数(RIP)か、コスト値(OSPF)か、ネットワークの間(BGP)か |
| DHCP・DNS・ARP | アドレスを割り当てる(DHCP)か、名前をアドレスに直す(DNS)か、IP と MAC を結ぶ(ARP)か |
| SIP と RTSP | 呼の接続と切断を制御する(SIP)か、サーバの映像などを遠隔で操作する(RTSP)か |
| SMTP と POP3 | メールを送る(SMTP)か、受け取る(POP3)か |
この章の勉強の進め方
- 6つのまとまりの名前を覚え、用語を見たら「どの階層の話か」を言えるようにします。
- 上の表の組み合わせを、何も見ずに一言で説明できるか確かめます。
- 問題を解いて、迷った用語をその日のうちに見直します。
勉強の全体の計画は「勉強時間の目安と1か月の計画」にまとめています。
第5章の問題を2問、解いてみる
もちこ道場の第5章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。
問1
無線LANでは、信号を送出するまでの待ち時間をランダムにすることにより、通信の衝突を実用上問題ないレベルに低減する1というアクセス制御方式を採用している。
答えと解説を見る
正解は 4(CSMA/CA)です。
【概要】
CSMA/CAは、無線LANで通信衝突を避けるために送出前に搬送波を感知しランダムな待ち時間を設けて送信する制御方式である。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. CSMA/CDあなたの解答 CSMA/CDは有線LANで衝突を検出する方式であり、ランダムな待ち時間により衝突回避を図る無線LANの方式ではない。
- 2. CDMAあなたの解答 CDMAは符号分割により複数通信を同時に行う多元接続方式であり、送信前のランダムな待ち時間で衝突回避する方式ではない。
- 3. TDMAあなたの解答 TDMAは時間を分割して複数端末に割り当てる多元接続方式であり、ランダムな待ち時間を設けて衝突回避する方式ではない。
- 4. CSMA/CA正解あなたの解答 CSMA/CAは信号送出前の待ち時間をランダムにして通信の衝突を低減する無線LANの方式で空欄(1)に適合する。
問2
トランスポート層のプロトコルで、データ転送の信頼性は保証しないものの、転送効率が高く、リアルタイム性が求められる音声通話や動画ストリーミングに用いられるのは1である。
答えと解説を見る
正解は 1(UDP)です。
【概要】
トランスポート層の非信頼型プロトコルに関する問題である。応答確認を省きリアルタイム性を優先する。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. UDP正解あなたの解答 UDPは信頼性保証を省き高速性とリアルタイム性を優先するプロトコルで空欄(1)に合致する。
- 2. TCPあなたの解答 TCPは確認応答や再送制御を行う信頼型プロトコルで、信頼性を保証しない高効率な通信ではない。
- 3. HTTPあなたの解答 HTTPはブラウザとWebサーバ間の通信に用いるアプリケーション層のプロトコルであり、トランスポート層ではない。
- 4. FTPあなたの解答 FTPはファイル転送を行うアプリケーション層の機能であり、トランスポート層のプロトコルではない。
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よくある質問
第5章はどの章とつながっていますか?
第4章のコアネットワークは、最終的にインターネットにつながる網です。第5章の IP アドレスやルーティング、DNS を知っておくと、第4章の P-GW が IP アドレスを割り当てる話などが読みやすくなります。
TCP/IP の4階層と OSI 参照モデルの7階層は、どちらも覚える必要がありますか?
どちらも、通信の機能を階層に分けて決めたものです。出題では、各階層の役割と、階層どうしの対応が問われます。たとえば、TCP/IP のインターネットワーク層は、OSI のネットワーク層に当たります。
TCP と UDP は何が違いますか?
TCP は、通信の前にコネクションを作り、届いたかを確かめて、うまくいかなければ送り直します。UDP は、その手順を持たず、データを配るだけです。信頼性より効率や即時性を優先するときに使います。
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出題範囲は、2026年10月26日にMCPC の公式ページで確認しました。用語の説明は、もちこ道場の問題と解説をもとにまとめたものです。