第4章 コアネットワーク技術の要点
EPC の各装置、アタッチ、5GC、NFV と SDN を整理

更新日 2026年10月26日 読む時間の目安 約6分
この記事の要点
  • 第4章は、基地局の先にあるコアネットワークの章です。LTE の EPC、音声の IMS、5G の 5GC、事業者をまたぐローミングやナンバーポータビリティ、仮想化まで出ます。
  • MME・S-GW・P-GW・HSS の役割の違い、EPC と 5GC、NFV と SDN のように、似た位置づけの用語の違いが問われます。
  • 用語は「コアネットワークのどの部分の話か」で6つに分けると、覚えやすくなります。
この記事の目次
  1. この章で問われること
  2. 6つのまとまりと押さえる用語
  3. 取り違えやすい組み合わせ
  4. この章の勉強の進め方
  5. 第4章の問題を解いてみる
  6. よくある質問

この章で問われること

第4章「コアネットワーク技術」は、基地局の先にある、携帯電話網の中心部分の技術を扱います。端末と基地局の間の電波の区間は第3章、インターネットの基本の仕組みは第5章です。

本番の100問のうち、第4章からは8問前後と予想しています。もちこ道場の模擬試験(100問・100分)は、全13章の範囲の広さに合わせて章ごとの問題数を決めていて、第4章からは8問を出しています。試験全体の約8%にあたります。

もちこ道場の第4章の問題は128問です。本番と同じ5つの形式に分けると、次のようになります。

形式 問題数
穴埋め(1か所) 30問
穴埋め(組み合わせ) 30問
長文(1つの文章に4問) 8問
正しい記述を選ぶ 30問
誤った記述を選ぶ 30問

出てくる用語は、コアネットワークのどの部分の話かで、次の6つのまとまりに分けると整理しやすくなります。

第4章の用語の6つのまとまり 1. EPC と IMS MME・P-GW・HSS・SIP 2. 接続と移動の制御 アタッチ・ハンドオーバ 3. 事業者をまたぐ ローミング・MNP 4. 仮想化とクラウド NFV・SDN・コンテナ 5. 5G のコア網 5GC・MEC・スライシング 6. 閉域網と 6G NPN・CAG・IMT-2030
第4章の用語の6つのまとまり(もちこ道場のまとめ)

6つのまとまりと押さえる用語

1. EPC と IMS

用語 ひとことで
ALL-IP 通信のすべてを IP の基盤の上で提供する考え方。回線交換からパケット交換へ進んだ
EPC LTE のパケットコア網。MME・S-GW・P-GW・HSS・PCRF などが役割を分ける
MME 端末と制御信号をやり取りして、移動の管理や経路の設定を行う
P-GW インターネットなど外部の網との接続点。端末に IP アドレスを割り当てる
HSS 加入者の契約情報や位置情報、認証の情報を一元管理するデータベース
PCRF QoS のポリシーや課金を制御する
IMS パケット網の上で、マルチメディアのサービスを提供する基盤。制御には SIP を使う
VoLTE IMS を活用した、パケット網上の高品質な電話サービス

2. 接続と移動の制御

用語 ひとことで
アタッチ 電源を入れたときの最初の手続き。認証、位置の登録、ベアラの設定、IP アドレスの割り当てを行う
デタッチ 電源を切るときに、端末と網側のリソースを解放する
Always ON 無通信のときは無線区間のベアラを解放しつつ、コア網側のベアラと IP アドレスを保つ
位置登録 端末が接続中の基地局のエリアを、網へあらかじめ知らせる
X2 ハンドオーバ 基地局どうしをつなぐ X2 インタフェースで直接連携し、通信を引き継ぐ
S1 ハンドオーバ MME や S-GW をまたぐ移動で、MME どうしが連携して引き継ぐ

3. 事業者をまたぐ仕組み

用語 ひとことで
ローミング 他の事業者や海外のネットワークを使って通信する
S8 Home Routed ホーム網の装置につなぐ方式。導入しやすく、VoLTE ローミングの主流
LBO ホーム網を経由せず、在圏網の P-GW に直接つなぐ方式
フルローミング 非常時に他社網を使う。ホーム網のコア網に支障がないときに適用する
緊急通報ローミング 非常時に、ホーム網のコア網に支障があるときに想定される
ナンバーポータビリティ 電話番号を変えずに事業者を変えられる制度。国内の事業者間はリダイレクション方式
L2 接続・L3 接続 MNO と MVNO のデータ通信の接続。L2 は MVNO が P-GW などを構築し、独自のサービスを出しやすい
フル MVNO 自分で HSS を運用して、独自に SIM を発行・管理する

4. 仮想化とクラウド

用語 ひとことで
NFV 汎用のサーバの上で、通信機能をソフトウェアとして動かす
スケーリング 通信の負荷に合わせて、仮想マシンを増やしたり減らしたりする
ヒーリング 障害のときに、仮想マシンを正常な機器へ自動で移す・作り直す
SDN 制御(C-Plane)と転送(D-Plane)を分け、制御をコントローラに集める
コンテナ ホスト OS のカーネルを共有する、軽い実行環境。仮想マシンよりリソースが少ない
CNF・CI/CD クラウド技術の活用。コンテナなどで、機能の拡張を速く、柔軟にする

5. 5G のコア網

用語 ひとことで
5GC 5G のスタンドアローン構成のコア網。制御系と転送系を分ける
SBA サービスベースアーキテクチャ。制御機能どうしの通信に HTTP/2 を使う
UDM・AUSF UDM は加入者情報を管理し、EPC の HSS に当たる。AUSF はアクセスの認証を担う
ネットワークスライシング 1つの物理網を論理的に分けて、用途ごとに独立した網を作る
MEC サーバや UPF を基地局の近くに置き、遅延を減らす
NWDAF 各機能から集めたデータを分析し、通信の制御に反映する
TSN 時刻の同期や低ジッタの通信。5G 網がブリッジになって連携する
NSA・SA NSA は EPC と LTE の基地局を活用する。SA は 5GC で単独に動く(音声は VoNR)

6. 閉域網と 6G

用語 ひとことで
NPN 企業などの特定のユーザ向けの、閉域のネットワーク
PNI-NPN 公衆網と統合した NPN。同じ網の中で CAG ID を共有してアクセスを制御する
SNPN 公衆網から独立して運用する NPN
IMT-2030(6G) 2030年以降を見据えた次世代の枠組み。6つの利用シナリオと能力目標がある

6G では、端末の接続数の目標が1平方キロメートルあたり1億台とされていて、5G の目標値を大きく上回ります。

取り違えやすい組み合わせ

選択肢には、同じまとまりの用語が並びます。次の組み合わせは、「何をする装置・手続きか」を一言で言えるようにしておきます。

組み合わせ 見分け方
MME・S-GW・P-GW・HSS 制御と移動の管理(MME)か、外部網との接続と IP アドレス(P-GW)か、加入者のデータベース(HSS)か
EPC と 5GC LTE のコア網か、5G のスタンドアローンのコア網か。HSS に当たるのは UDM
NSA と SA EPC と LTE の基地局を使う(NSA)か、5GC だけで動く(SA)か
S8 Home Routed と LBO ホーム網の装置につなぐか、在圏網の P-GW に直接つなぐか
PNI-NPN と SNPN 公衆網と統合している(PNI-NPN)か、独立している(SNPN)か
スケーリングとヒーリング 負荷に合わせて増減する(スケーリング)か、障害時に自動で復旧する(ヒーリング)か
アタッチと位置登録 最初のつなぎ込み(アタッチ)か、いるエリアを網へ知らせる(位置登録)か

この章の勉強の進め方

  1. 6つのまとまりの名前を覚え、用語を見たら「コアネットワークのどの部分の話か」を言えるようにします。
  2. 上の表の組み合わせを、何も見ずに一言で説明できるか確かめます。
  3. 問題を解いて、迷った用語をその日のうちに見直します。

勉強の全体の計画は「勉強時間の目安と1か月の計画」にまとめています。

第4章の問題を2問、解いてみる

もちこ道場の第4章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。

問1

LTEのコアネットワークであるEPCにおいて、インターネットをはじめとする外部ネットワークへの接続点としての役割を持ち、端末と外部ネットワークとの間でデータの転送を行う装置は1である。

答えと解説を見る

正解は 3(P-GW)です。

【概要】

EPCはLTEのパケットコア網であり各ノードが役割を分担する。P-GWは外部ネットワークとの接続点としてデータ転送を担う。

【図解】実験的機能

LTE のコアネットワーク EPC を構成する装置 LTE のコアネットワーク EPC を構成する装置

図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。

【各選択肢の解説】

  • 1. MMEあなたの解答 MMEは端末の移動管理や認証制御を担う制御ノードであり、外部ネットワークとの接続やデータ転送を行う装置ではない。
  • 2. HSSあなたの解答 HSSは加入者情報や認証データを一元管理するデータベースであり、外部網との境界でユーザーデータを転送するノードではない。
  • 3. P-GW正解あなたの解答 P-GWは外部パケット網との接続点としてIPアドレス割当やデータ転送を担う装置であり空欄(1)に正しく合致する。
  • 4. S-GWあなたの解答 S-GWは基地局間のハンドオーバ時のデータアンカーとなる装置であり、外部IPネットワークとの直接の接続点ではない。

問2

モバイルネットワーク上でデータ通信ができるようにするために、端末の電源ON時に最初に行うネットワークへの接続手続きを1という。

答えと解説を見る

正解は 2(アタッチ)です。

【概要】

端末がネットワークへ初期接続する手続きに関する問題である。電源投入時に認証、位置情報の登録、ベアラ設定、IPアドレスの割り当てを行う。

【図解】実験的機能

LTE の端末とネットワーク間の通信制御(アタッチ・Always ON・位置登録・デタッチ) LTE の端末とネットワーク間の通信制御(アタッチ・Always ON・位置登録・デタッチ)

図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。

【各選択肢の解説】

  • 1. ローミングあなたの解答 ローミングは自国以外の提携通信網へ接続して利用する仕組みであり、電源ON時の最初の接続手続きではない。
  • 2. アタッチ正解あなたの解答 アタッチは電源投入時等に端末がネットワークへ接続し位置登録等を行う手続きのため空欄(1)に合致する。
  • 3. ハンドオーバあなたの解答 ハンドオーバは通信中に移動に合わせて接続基地局を切り替える処理であり、電源投入時の初期接続手続きではない。
  • 4. デタッチあなたの解答 デタッチはネットワークとの接続状態を解除する手続きであり、データ通信を可能にする接続処理ではない。
問題を解いて確かめる

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よくある質問

第4章はどの章とつながっていますか?

端末と基地局の間の無線区間は第3章、基地局の先のコアネットワークが第4章、そのさきのインターネットの基本は第5章です。第3章の基地局(eNB)や5G の構成の話を読んだうえで第4章に進むと、つながりが分かります。

EPC と 5GC は何が違いますか?

EPC は LTE のパケットコア網で、MME・S-GW・P-GW・HSS などの装置が役割を分けています。5GC は 5G のスタンドアローン構成のコア網で、サービスベースアーキテクチャを使い、ネットワークスライシングなどサービスに応じた柔軟な制御ができます。

NSA と SA は何が違いますか?

NSA は、既存の EPC と LTE の基地局を活用し、5G の基地局(gNB)と組み合わせる構成です。SA は 5GC だけで 5G が動く構成で、音声は VoNR で提供します。

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出典・注記

出題範囲は、2026年10月26日にMCPC の公式ページで確認しました。用語の説明は、もちこ道場の問題と解説をもとにまとめたものです。

  1. モバイルシステム技術検定2級(MCPC 公式)