第4章 コアネットワーク技術の要点
EPC の各装置、アタッチ、5GC、NFV と SDN を整理
- 第4章は、基地局の先にあるコアネットワークの章です。LTE の EPC、音声の IMS、5G の 5GC、事業者をまたぐローミングやナンバーポータビリティ、仮想化まで出ます。
- MME・S-GW・P-GW・HSS の役割の違い、EPC と 5GC、NFV と SDN のように、似た位置づけの用語の違いが問われます。
- 用語は「コアネットワークのどの部分の話か」で6つに分けると、覚えやすくなります。
この章で問われること
第4章「コアネットワーク技術」は、基地局の先にある、携帯電話網の中心部分の技術を扱います。端末と基地局の間の電波の区間は第3章、インターネットの基本の仕組みは第5章です。
本番の100問のうち、第4章からは8問前後と予想しています。もちこ道場の模擬試験(100問・100分)は、全13章の範囲の広さに合わせて章ごとの問題数を決めていて、第4章からは8問を出しています。試験全体の約8%にあたります。
もちこ道場の第4章の問題は128問です。本番と同じ5つの形式に分けると、次のようになります。
| 形式 | 問題数 |
|---|---|
| 穴埋め(1か所) | 30問 |
| 穴埋め(組み合わせ) | 30問 |
| 長文(1つの文章に4問) | 8問 |
| 正しい記述を選ぶ | 30問 |
| 誤った記述を選ぶ | 30問 |
出てくる用語は、コアネットワークのどの部分の話かで、次の6つのまとまりに分けると整理しやすくなります。
6つのまとまりと押さえる用語
1. EPC と IMS
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| ALL-IP | 通信のすべてを IP の基盤の上で提供する考え方。回線交換からパケット交換へ進んだ |
| EPC | LTE のパケットコア網。MME・S-GW・P-GW・HSS・PCRF などが役割を分ける |
| MME | 端末と制御信号をやり取りして、移動の管理や経路の設定を行う |
| P-GW | インターネットなど外部の網との接続点。端末に IP アドレスを割り当てる |
| HSS | 加入者の契約情報や位置情報、認証の情報を一元管理するデータベース |
| PCRF | QoS のポリシーや課金を制御する |
| IMS | パケット網の上で、マルチメディアのサービスを提供する基盤。制御には SIP を使う |
| VoLTE | IMS を活用した、パケット網上の高品質な電話サービス |
2. 接続と移動の制御
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| アタッチ | 電源を入れたときの最初の手続き。認証、位置の登録、ベアラの設定、IP アドレスの割り当てを行う |
| デタッチ | 電源を切るときに、端末と網側のリソースを解放する |
| Always ON | 無通信のときは無線区間のベアラを解放しつつ、コア網側のベアラと IP アドレスを保つ |
| 位置登録 | 端末が接続中の基地局のエリアを、網へあらかじめ知らせる |
| X2 ハンドオーバ | 基地局どうしをつなぐ X2 インタフェースで直接連携し、通信を引き継ぐ |
| S1 ハンドオーバ | MME や S-GW をまたぐ移動で、MME どうしが連携して引き継ぐ |
3. 事業者をまたぐ仕組み
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| ローミング | 他の事業者や海外のネットワークを使って通信する |
| S8 Home Routed | ホーム網の装置につなぐ方式。導入しやすく、VoLTE ローミングの主流 |
| LBO | ホーム網を経由せず、在圏網の P-GW に直接つなぐ方式 |
| フルローミング | 非常時に他社網を使う。ホーム網のコア網に支障がないときに適用する |
| 緊急通報ローミング | 非常時に、ホーム網のコア網に支障があるときに想定される |
| ナンバーポータビリティ | 電話番号を変えずに事業者を変えられる制度。国内の事業者間はリダイレクション方式 |
| L2 接続・L3 接続 | MNO と MVNO のデータ通信の接続。L2 は MVNO が P-GW などを構築し、独自のサービスを出しやすい |
| フル MVNO | 自分で HSS を運用して、独自に SIM を発行・管理する |
4. 仮想化とクラウド
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| NFV | 汎用のサーバの上で、通信機能をソフトウェアとして動かす |
| スケーリング | 通信の負荷に合わせて、仮想マシンを増やしたり減らしたりする |
| ヒーリング | 障害のときに、仮想マシンを正常な機器へ自動で移す・作り直す |
| SDN | 制御(C-Plane)と転送(D-Plane)を分け、制御をコントローラに集める |
| コンテナ | ホスト OS のカーネルを共有する、軽い実行環境。仮想マシンよりリソースが少ない |
| CNF・CI/CD | クラウド技術の活用。コンテナなどで、機能の拡張を速く、柔軟にする |
5. 5G のコア網
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| 5GC | 5G のスタンドアローン構成のコア網。制御系と転送系を分ける |
| SBA | サービスベースアーキテクチャ。制御機能どうしの通信に HTTP/2 を使う |
| UDM・AUSF | UDM は加入者情報を管理し、EPC の HSS に当たる。AUSF はアクセスの認証を担う |
| ネットワークスライシング | 1つの物理網を論理的に分けて、用途ごとに独立した網を作る |
| MEC | サーバや UPF を基地局の近くに置き、遅延を減らす |
| NWDAF | 各機能から集めたデータを分析し、通信の制御に反映する |
| TSN | 時刻の同期や低ジッタの通信。5G 網がブリッジになって連携する |
| NSA・SA | NSA は EPC と LTE の基地局を活用する。SA は 5GC で単独に動く(音声は VoNR) |
6. 閉域網と 6G
| 用語 | ひとことで |
|---|---|
| NPN | 企業などの特定のユーザ向けの、閉域のネットワーク |
| PNI-NPN | 公衆網と統合した NPN。同じ網の中で CAG ID を共有してアクセスを制御する |
| SNPN | 公衆網から独立して運用する NPN |
| IMT-2030(6G) | 2030年以降を見据えた次世代の枠組み。6つの利用シナリオと能力目標がある |
6G では、端末の接続数の目標が1平方キロメートルあたり1億台とされていて、5G の目標値を大きく上回ります。
取り違えやすい組み合わせ
選択肢には、同じまとまりの用語が並びます。次の組み合わせは、「何をする装置・手続きか」を一言で言えるようにしておきます。
| 組み合わせ | 見分け方 |
|---|---|
| MME・S-GW・P-GW・HSS | 制御と移動の管理(MME)か、外部網との接続と IP アドレス(P-GW)か、加入者のデータベース(HSS)か |
| EPC と 5GC | LTE のコア網か、5G のスタンドアローンのコア網か。HSS に当たるのは UDM |
| NSA と SA | EPC と LTE の基地局を使う(NSA)か、5GC だけで動く(SA)か |
| S8 Home Routed と LBO | ホーム網の装置につなぐか、在圏網の P-GW に直接つなぐか |
| PNI-NPN と SNPN | 公衆網と統合している(PNI-NPN)か、独立している(SNPN)か |
| スケーリングとヒーリング | 負荷に合わせて増減する(スケーリング)か、障害時に自動で復旧する(ヒーリング)か |
| アタッチと位置登録 | 最初のつなぎ込み(アタッチ)か、いるエリアを網へ知らせる(位置登録)か |
この章の勉強の進め方
- 6つのまとまりの名前を覚え、用語を見たら「コアネットワークのどの部分の話か」を言えるようにします。
- 上の表の組み合わせを、何も見ずに一言で説明できるか確かめます。
- 問題を解いて、迷った用語をその日のうちに見直します。
勉強の全体の計画は「勉強時間の目安と1か月の計画」にまとめています。
第4章の問題を2問、解いてみる
もちこ道場の第4章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。
問1
LTEのコアネットワークであるEPCにおいて、インターネットをはじめとする外部ネットワークへの接続点としての役割を持ち、端末と外部ネットワークとの間でデータの転送を行う装置は1である。
答えと解説を見る
正解は 3(P-GW)です。
【概要】
EPCはLTEのパケットコア網であり各ノードが役割を分担する。P-GWは外部ネットワークとの接続点としてデータ転送を担う。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. MMEあなたの解答 MMEは端末の移動管理や認証制御を担う制御ノードであり、外部ネットワークとの接続やデータ転送を行う装置ではない。
- 2. HSSあなたの解答 HSSは加入者情報や認証データを一元管理するデータベースであり、外部網との境界でユーザーデータを転送するノードではない。
- 3. P-GW正解あなたの解答 P-GWは外部パケット網との接続点としてIPアドレス割当やデータ転送を担う装置であり空欄(1)に正しく合致する。
- 4. S-GWあなたの解答 S-GWは基地局間のハンドオーバ時のデータアンカーとなる装置であり、外部IPネットワークとの直接の接続点ではない。
問2
モバイルネットワーク上でデータ通信ができるようにするために、端末の電源ON時に最初に行うネットワークへの接続手続きを1という。
答えと解説を見る
正解は 2(アタッチ)です。
【概要】
端末がネットワークへ初期接続する手続きに関する問題である。電源投入時に認証、位置情報の登録、ベアラ設定、IPアドレスの割り当てを行う。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. ローミングあなたの解答 ローミングは自国以外の提携通信網へ接続して利用する仕組みであり、電源ON時の最初の接続手続きではない。
- 2. アタッチ正解あなたの解答 アタッチは電源投入時等に端末がネットワークへ接続し位置登録等を行う手続きのため空欄(1)に合致する。
- 3. ハンドオーバあなたの解答 ハンドオーバは通信中に移動に合わせて接続基地局を切り替える処理であり、電源投入時の初期接続手続きではない。
- 4. デタッチあなたの解答 デタッチはネットワークとの接続状態を解除する手続きであり、データ通信を可能にする接続処理ではない。
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よくある質問
第4章はどの章とつながっていますか?
端末と基地局の間の無線区間は第3章、基地局の先のコアネットワークが第4章、そのさきのインターネットの基本は第5章です。第3章の基地局(eNB)や5G の構成の話を読んだうえで第4章に進むと、つながりが分かります。
EPC と 5GC は何が違いますか?
EPC は LTE のパケットコア網で、MME・S-GW・P-GW・HSS などの装置が役割を分けています。5GC は 5G のスタンドアローン構成のコア網で、サービスベースアーキテクチャを使い、ネットワークスライシングなどサービスに応じた柔軟な制御ができます。
NSA と SA は何が違いますか?
NSA は、既存の EPC と LTE の基地局を活用し、5G の基地局(gNB)と組み合わせる構成です。SA は 5GC だけで 5G が動く構成で、音声は VoNR で提供します。
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出題範囲は、2026年10月26日にMCPC の公式ページで確認しました。用語の説明は、もちこ道場の問題と解説をもとにまとめたものです。