第3章 無線アクセスネットワーク技術の要点
FDD・TDD、OFDMA、MIMO、5G の構成を整理

更新日 2026年10月26日 読む時間の目安 約6分
この記事の要点
  • 第3章は、端末と基地局の間の電波でつながる区間(RAN)の章です。電波とセル、変調と符号化、複信と多元接続、高速化の技術、移動の制御、5G の構成まで出ます。
  • 略語が多く、FDD と TDD、ARQ と HARQ、OFDMA と SC-FDMA のような似た組み合わせの違いが問われます。
  • 用語は「何を解決するための技術か」で6つに分けると、覚えやすくなります。
この記事の目次
  1. この章で問われること
  2. 6つのまとまりと押さえる用語
  3. 取り違えやすい組み合わせ
  4. この章の勉強の進め方
  5. 第3章の問題を解いてみる
  6. よくある質問

この章で問われること

第3章「無線アクセスネットワーク技術」は、スマートフォンなどの端末と基地局の間の、電波でつながる区間の技術を扱います。基地局の先のネットワーク(コアネットワーク)は第4章です。

本番の100問のうち、第3章からは8問前後と予想しています。もちこ道場の模擬試験(100問・100分)は、全13章の範囲の広さに合わせて章ごとの問題数を決めていて、第3章からは8問を出しています。試験全体の約8%にあたります。

もちこ道場の第3章の問題は136問です。本番と同じ5つの形式に分けると、次のようになります。

形式 問題数
穴埋め(1か所) 30問
穴埋め(組み合わせ) 30問
長文(1つの文章に4問) 16問
正しい記述を選ぶ 30問
誤った記述を選ぶ 30問

出てくる用語は、何を解決するための技術かで、次の6つのまとまりに分けると整理しやすくなります。

第3章の用語の6つのまとまり 1. 電波とセル セルラー方式・セクタ化 2. 変調と符号化 多値変調・ARQ・HARQ 3. 複信と多元接続 FDD・TDD・OFDMA 4. 速く・安定させる MIMO・CA・電力制御 5. 移動と待ち受け 位置登録・ハンドオーバ 6. 5G の構成 NSA・SA・vRAN
第3章の用語の6つのまとまり(もちこ道場のまとめ)

6つのまとまりと押さえる用語

1. 電波とセルの基本

用語 ひとことで
RAN 端末と基地局の間の、無線区間のシステム
セルラー方式 小さなエリア(セル)をすき間なく並べて、広いサービスエリアを作る
ピコセル ビルの中や地下街など、狭い範囲をカバーする小さなセル(大きい順にマクロ・マイクロ・ピコ)
セクタ化 指向性のあるアンテナでセルを扇形に分け、干渉を抑えて容量を増やす
マルチパスフェージング 反射や回折で別の道を通った電波どうしが干渉し、受信の強さが大きく変わる現象

電波は、周波数が高いほどまっすぐ進み、建物の陰に回り込みにくくなります。

2. 変調と符号化

用語 ひとことで
情報源符号化 音声などの情報をデジタルにして、圧縮する
誤り訂正符号化 余分な情報を足して、受信側で誤りを見つけて直せるようにする
多値変調 1回(1シンボル)で複数のビットを送り、速くする
適応変調 電波の状態に合わせて、変調の方式や多値数を切り替える
ARQ 誤りを見つけたら、送り直しを求める
HARQ ARQ と誤り訂正を組み合わせ、受け取ったデータを合成して復号しやすくする

3. 複信と多元接続

用語 ひとことで
FDD 上りと下りに、別の周波数を使う
TDD 同じ周波数で、上りと下りを時間で切り替える
FDMA・TDMA・CDMA 周波数・時間・符号で、利用者を分ける
OFDMA 直交させたたくさんのサブキャリアを、利用者に割り当てる(LTE の下り)
SC-FDMA ピーク電力を抑え、端末の電池の消費を減らす(LTE の上り)
サイクリック・プリフィックス OFDM で、マルチパスによるシンボル間の干渉を防ぐために入れる信号

4. 速く・安定させる技術

用語 ひとことで
MIMO 送りと受けの両方に複数のアンテナを使い、品質を上げたり、同時に複数のデータを送ったりする
ダイバーシティ 複数のアンテナなどで受けた信号を使い、フェージングの影響を減らす
ビームフォーミング 電波を特定の方向に集中させる
キャリアアグリゲーション 複数のキャリア(周波数の帯域)を束ねて、速くする
送信電力制御 受信側の測定をもとに送信の電力を調整し、干渉を防ぐ

5. 移動と待ち受けの制御

用語 ひとことで
位置登録 待ち受け中の端末が、いまどのエリアにいるかをネットワークに知らせる
ハンドオーバ 通信中に、つながる基地局を切り替える(端末の測定をもとに基地局が指示する端末アシスト型が主流)
間欠受信 待ち受け中は一定の周期でだけ受信して、電池を節約する

6. 5G の構成と使い方

用語 ひとことで
eMBB・URLLC・mMTC 超高速・超高信頼低遅延・多数同時接続の、3つの利用シナリオ
NSA 構成 LTE の設備と 5G の基地局を組み合わせる(制御信号は LTE、データは 5G)
SA 構成 5G の基地局と 5G のコアネットワークだけで動く
vRAN 基地局の機能を、専用の機器ではなく汎用のサーバのソフトウェアで動かす
フロントホール 基地局の無線部(RU)と、信号処理・制御部(DU・CU)の間の区間
ローカル5G 企業や自治体が、自分の建物や敷地の中に作る 5G

取り違えやすい組み合わせ

選択肢には、同じまとまりの用語が並びます。次の組み合わせは、「何で分けるか」を一言で言えるようにしておきます。

組み合わせ 見分け方
FDD と TDD 周波数で分ける(FDD)か、時間で分ける(TDD)か
ARQ と HARQ 送り直すだけ(ARQ)か、誤り訂正と合わせて受け取ったデータも使う(HARQ)か
情報源符号化と誤り訂正符号化 減らして圧縮する(情報源)か、足して守る(誤り訂正)か
OFDMA と SC-FDMA LTE の下りが OFDMA、上り(端末の送信)が SC-FDMA
MIMO とキャリアアグリゲーション アンテナを増やす(MIMO)か、周波数の帯域を束ねる(CA)か
位置登録とハンドオーバ 待ち受け中か、通信中か
NSA と SA LTE の設備を使うか、5G だけで動くか

この章の勉強の進め方

  1. 6つのまとまりの名前を覚え、用語を見たら「どのまとまりの話か」を言えるようにします。
  2. 上の表の組み合わせを、何も見ずに一言で説明できるか確かめます。
  3. 問題を解いて、迷った用語をその日のうちに見直します。

勉強の全体の計画は「勉強時間の目安と1か月の計画」にまとめています。

第3章の問題を2問、解いてみる

もちこ道場の第3章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。

問1

基地局とモバイル端末との間で双方向の通信を行うためのデュプレクス方式のうち、共通の周波数帯域を用い、送信と受信を時間軸上で交互に切り換えることで上り通信と下り通信を行う方式を1と呼ぶ。

答えと解説を見る

正解は 2(TDD)です。

【概要】

TDDは時間軸上で送受信を交互に切り替えて共通の周波数帯域で双方向通信を行う複信方式である。周波数利用の柔軟性が高い。

【図解】実験的機能

FDD と TDD のデュプレクス(複信)方式 FDD と TDD のデュプレクス(複信)方式

図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。

【各選択肢の解説】

  • 1. FDDあなたの解答 FDDは上りと下りで互いに分離された異なる周波数帯を用いる複信方式であり、共通周波数帯を時間軸で切替えない。
  • 2. TDD正解あなたの解答 TDDは時間軸上で送信と受信を交互に切り替え共通の周波数帯域で双方向通信を行う方式で空欄(1)に合致する。
  • 3. FDMあなたの解答 FDMは周波数帯域を複数に分割して同時に異なる情報を多重伝送する技術であり、送受信を時間軸で切替える方式ではない。
  • 4. TDMあなたの解答 TDMは一つの伝送路を時間で分割して複数の信号を多重化する技術であり、上り・下りの双方向通信を行う複信方式ではない。

問2

非常に低い伝送誤り率が必要な場合、再送制御と誤り訂正技術を組み合わせ、送信時のデータと再送信時のデータを受信側で合成することにより高い復号能力を得る技術を1と呼ぶ。

答えと解説を見る

正解は 4(HARQ)です。

【概要】

再送制御と誤り訂正符号化を組み合わせ、受信データの合成により高い復号能力を得る伝送技術に関する問題である。空欄(1)にはHARQが入る。

【図解】実験的機能

デジタル無線伝送の符号化と誤り制御(ARQ・HARQ) デジタル無線伝送の符号化と誤り制御(ARQ・HARQ)

図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。

【各選択肢の解説】

  • 1. MIMOあなたの解答 MIMOは、複数のアンテナを用いて同一周波数帯で多重伝送等を行う技術であり、再送制御と誤り訂正を組み合わせる手法ではない。
  • 2. FDDあなたの解答 FDDは、上りと下りに異なる周波数帯を割り当てて双方向通信を行う方式であり、再送データと初送データを合成する技術ではない。
  • 3. OFDMあなたの解答 OFDMは、多数の直交するサブキャリアにデータを分散して伝送するマルチキャリア方式であり、再送制御と誤り訂正の合成手法ではない。
  • 4. HARQ正解あなたの解答 HARQは、自動再送要求(ARQ)と誤り訂正を融合し受信データを合成復号する技術であり、空欄(1)の記述に合致する。
問題を解いて確かめる

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よくある質問

第3章はどの章とつながっていますか?

基地局の先のネットワーク(コアネットワーク)は第4章、携帯電話のサービスの移り変わりは第2章で扱います。第3章で無線区間の言葉をそろえておくと、第4章の EPC や 5GC の説明が読みやすくなります。

LTE と 5G で、使われている技術は違いますか?

OFDM による多元接続、MIMO、キャリアアグリゲーションなどの考え方は、LTE から 5G に引き継がれています。5G では、より高い周波数を使うことと、超高速・超高信頼低遅延・多数同時接続という使い方に合わせて使い分けることが加わります。

位置登録とハンドオーバは何が違いますか?

位置登録は、待ち受け中の端末が、いまどのエリアにいるかをネットワークに知らせる仕組みです(着信のときに呼び出すため)。ハンドオーバは、通信中に、つながる基地局を切り替える仕組みです。

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出典・注記

出題範囲は、2026年10月26日にMCPC の公式ページで確認しました。用語の説明は、もちこ道場の問題と解説をもとにまとめたものです。

  1. モバイルシステム技術検定2級(MCPC 公式)