第8章 モバイル端末のソフトウェア技術の要点
OS、実行環境、音声・画像・動画の形式を整理

更新日 2026年10月26日 読む時間の目安 約5分
この記事の要点
  • 第8章は、端末の中で動くソフトウェアの土台の章です。OS とミドルウェア、アプリの実行環境、省電力と処理性能、音声・画像・動画のデータ形式まで出ます。
  • 可逆圧縮と非可逆圧縮、ネイティブコードと仮想機械、スタティックリンクとダイナミックリンクのような、対になる言葉の違いが問われます。
  • 用語は「何を動かす・何を保存する技術か」で6つに分けると、覚えやすくなります。
この記事の目次
  1. この章で問われること
  2. 6つのまとまりと押さえる用語
  3. 取り違えやすい組み合わせ
  4. この章の勉強の進め方
  5. 第8章の問題を解いてみる
  6. よくある質問

この章で問われること

第8章「モバイル端末のソフトウェア技術」は、スマートフォンなどの端末の中で動く、OS・アプリ・データ形式の技術を扱います。通信の話は第3章(無線)や第4章(コアネットワーク)、端末の外のインターネットは第9章です。

本番の100問のうち、第8章からは7問前後と予想しています。もちこ道場の模擬試験(100問・100分)は、全13章の範囲の広さに合わせて章ごとの問題数を決めていて、第8章からは7問を出しています。試験全体の約7%にあたります。

もちこ道場の第8章の問題は136問です。本番と同じ5つの形式に分けると、次のようになります。

形式 問題数
穴埋め(1か所) 30問
穴埋め(組み合わせ) 30問
長文(1つの文章に4問) 16問
正しい記述を選ぶ 30問
誤った記述を選ぶ 30問

出てくる用語は、何を動かす・何を保存する技術かで、次の6つのまとまりに分けると整理しやすくなります。

第8章の用語の6つのまとまり 1. OS とソフト カーネル・API・RTOS 2. 実行環境 仮想機械・UWP・AOT 3. 電力・性能・更新 ACPI・OTA 4. 音声の形式 標本化・量子化・AAC 5. 静止画の形式 JPEG・PNG・GIF 6. 動画と書庫 H.265・コンテナ・ZIP
第8章の用語の6つのまとまり(もちこ道場のまとめ)

6つのまとまりと押さえる用語

1. OS とソフトウェアの土台

用語 ひとことで
カーネル OS の中核。ハードウェアを直接制御し、タスク管理やメモリ管理を担う
ミドルウェア OS とアプリの間にあって、共通の機能を提供する
API OS やミドルウェアの機能を呼び出すための決まり
ダイナミックリンク 共通処理をまとめたライブラリを、実行時に動的に結びつける(固定的に結ぶのがスタティックリンク)
リアルタイム OS タスクの切り替え時間を保証し、応答の遅れを防ぐ
ファイルシステム 記憶メディア上のデータの保存や読み出しの決まりを管理する

2. アプリの実行環境と移植性

用語 ひとことで
ネイティブコード プロセッサが直接実行できる機械語
仮想機械(VM) ハードや OS の違いを吸収する中間層。アプリを別の環境へ移しやすくする
サンドボックス アプリの動ける範囲を制限した領域に閉じ込めて、安全性を高める
UWP Windows で、画面の大きさなどに合わせて動く共通の実行環境
WSL Windows の上で Linux を動かすしくみ
Windows App SDK UWP と Win32 の2つの API を統合する取り組み
AOT Android のアプリの実行環境で使われるコンパイル方式(JIT と対にして出る)

3. 電力・処理性能・更新

用語 ひとことで
ACPI PC の電源の状態(S0〜S5)を切り替えて、省電力にする規格
ハイパースレッディング 回路の空き時間を使い、1つのコアを複数に見せる
ターボ・ブースト CPU の使用状況に応じて、動作周波数を動的に上げる
ネットワークスライシング 5G の接続を仮想的に分けて、用途ごとに通信の品質を制御する
OTA 無線通信で、端末のソフトウェアを書き換えて更新する

4. 音声のデジタル化と形式

用語 ひとことで
標本化・量子化 音を一定の間隔で測り(標本化)、値を数にする(量子化)
ナイキスト周波数 元の信号を復元するための、標本化の条件に関わる周波数
ハイレゾ音源 CD より短い標本化周期と細かい量子化で、原音に近い音を再現する
AAC 圧縮率が高く、放送や配信で広く使われる音声の形式
可逆圧縮・非可逆圧縮 完全に元に戻せる(可逆)か、容量の削減を優先する(非可逆)か

5. 静止画の形式

用語 ひとことで
JPEG 輝度と色差を使い、自然な画像を非可逆圧縮で小さくする
PNG 可逆圧縮。色数を制限することもできる
GIF 可逆圧縮で、使える色は最大256色。アニメーションも使える
HEIF 動画の圧縮技術を使い、画質を保ったままサイズを小さくする
無圧縮の画像 画素数と色の階調のビット数をかけて、データサイズを計算する

6. 動画の圧縮と書庫

用語 ひとことで
MPEG 動画の圧縮の国際標準の規格群(MPEG-1 から MPEG-4 など)
H.265/HEVC H.264 より圧縮率が高く、高解像度の動画に向く
コンテナフォーマット 圧縮した動画・音声・字幕をまとめて入れるファイル形式
ZIP 複数のファイルを1つにまとめ(書庫)、圧縮もできる

取り違えやすい組み合わせ

選択肢には、似た用語が並びます。次の組み合わせは、「何が違うか」を一言で言えるようにしておきます。

組み合わせ 見分け方
ネイティブコードと仮想機械 プロセッサが直接動かす(ネイティブ)か、仮想機械を通して動かす(移植性が高い)か
スタティックリンクとダイナミックリンク 固定的に結ぶか、動的に結ぶか
ミドルウェアとカーネル OS の中核(カーネル)か、OS とアプリの間の共通機能(ミドルウェア)か
可逆圧縮と非可逆圧縮 完全に復元できるか、容量の削減を優先するか(PNG・GIF は可逆、JPEG は非可逆)
コーデックとコンテナフォーマット 中身を圧縮する方式か、圧縮した中身を入れる箱か
標本化と量子化 時間を区切って測る(標本化)か、測った値を数にする(量子化)か
ハイパースレッディングとターボ・ブースト コアを複数に見せるか、動作周波数を上げるか

この章の勉強の進め方

  1. 6つのまとまりの名前を覚え、用語を見たら「どのまとまりの話か」を言えるようにします。
  2. 上の表の組み合わせを、何も見ずに一言で説明できるか確かめます。
  3. 問題を解いて、迷った用語をその日のうちに見直します。

勉強の全体の計画は「勉強時間の目安と1か月の計画」にまとめています。

第8章の問題を2問、解いてみる

もちこ道場の第8章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。

問1

コンピュータシステムにおいて、ハードウェアやOSを抽象化し、OSやプロセッサの違いを吸収する中間の層として構築された仮想的な環境を1と呼ぶ。

答えと解説を見る

正解は 2(仮想機械(VM))です。

【概要】

ソフトウェアの移植性を高めるため仮想化が利用される。ハードやOSの違いを吸収する中間層として仮想機械が構築される。

【図解】実験的機能

ネイティブコードと仮想機械(VM)・Java VM ネイティブコードと仮想機械(VM)・Java VM

図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。

【各選択肢の解説】

  • 1. ネイティブコードあなたの解答 ネイティブコードはプロセッサが直接実行できる機械語記述であり、抽象化された中間環境を示す空欄(1)とは異なる。
  • 2. 仮想機械(VM)正解あなたの解答 仮想機械(VM)はハードやOSを抽象化し機種ごとの違いを吸収する中間層環境のため空欄(1)に適合する。
  • 3. シェルあなたの解答 シェルはユーザからの操作命令をOSカーネルに伝えるインタフェースであり、仮想層を示す空欄(1)とは異なる。
  • 4. ミドルウェアあなたの解答 ミドルウェアは共通機能をまとめたソフトウェア全般を指し、ハード等を抽象化する仮想環境の空欄(1)とは異なる。

問2

画像の圧縮方式のうち、写真のような色数が多く微妙に変化する画像に適しており、輝度情報と色差情報(YUV)を用いて非可逆圧縮を行う標準的なフォーマットは1である。

答えと解説を見る

正解は 2(JPEG)です。

【概要】

静止画の非可逆圧縮フォーマットの特性に関する問題である。輝度と色差情報を利用して自然画像を高効率に圧縮する。

【図解】実験的機能

静止画像フォーマットの圧縮方式と特徴 静止画像フォーマットの圧縮方式と特徴

図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。

【各選択肢の解説】

  • 1. PNGあなたの解答 PNGは可逆圧縮を行う画像フォーマットであり、YUVによる非可逆圧縮を行う空欄(1)に合致しない。
  • 2. JPEG正解あなたの解答 JPEGはYUV情報を利用して非可逆圧縮を行う写真向き標準規格のため空欄(1)に合致する。
  • 3. GIFあなたの解答 GIFは256色の可逆圧縮方式であり、自然画像に適した非可逆圧縮の空欄(1)に合致しない。
  • 4. BMPあなたの解答 BMPは基本的に無圧縮でデータを保持するフォーマットであり、非可逆圧縮を行う空欄(1)に合致しない。
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よくある質問

第8章は、ほかの章とどうつながっていますか?

第8章は端末の中のソフトウェアの話です。端末の外のインターネットやクラウドは第9章、AI は第10章、セキュリティは第11章で扱います。ここで OS やアプリの実行のしくみをつかんでおくと、第9章以降のアプリの話が読みやすくなります。

音声・画像・動画の形式は、どこまで覚えればよいですか?

名前だけでなく「可逆か非可逆か」「何に向くか」をセットで覚えます。たとえば PNG と GIF は可逆圧縮、JPEG は非可逆圧縮です。動画は、中身を圧縮するコーデックと、それを入れる箱のコンテナフォーマットを分けて考えます。

Android と iOS は、どこで問われますか?

Android はアプリの実行環境とコンパイル方式(JIT と AOT)、5G のネットワークスライシングへの対応が出ます。iOS は階層構造のソフトウェア構成(最上位が Cocoa Touch 層)と開発言語の Swift が出ます。

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出典・注記

出題範囲は、2026年10月26日にMCPC の公式ページで確認しました。用語の説明は、もちこ道場の問題と解説をもとにまとめたものです。

  1. モバイルシステム技術検定2級(MCPC 公式)