ARQ と HARQ の違い
再送するだけか、受信データを合成するか
- ARQ と HARQ は、無線の通信路で起きた受信の誤りに対処する再送制御の技術です。
- ARQ は、誤りを見つけたら再送を求めて送り直してもらう技術。HARQ は、再送制御に誤り訂正符号化を組み合わせ、最初に受け取ったデータと再送されたデータを合成して復号します。
- ARQ に Hybrid(複合)の H が付いたものが HARQ、と覚えます。
ARQ とは
ARQ は、受信側がデータの誤りを見つけたら、送信側に再送を求める技術です。誤ったデータをそのまま使わず、送り直してもらうことで、通信の品質を保ちます。
無線の通信路では、雑音などで受信に誤りが起こります。ARQ は、それに備える再送制御のひとつです。
HARQ とは
HARQ は、再送制御と誤り訂正符号化を組み合わせた技術です。誤りがあったときに再送を求める点は ARQ と同じですが、最初に送られたデータと、再送されたデータを受信側で合成します。
合成すると、高い復号能力が得られます。そのため、非常に低い伝送誤り率が必要な場合に向いています。
違いを表で比べる
| 比べること | ARQ | HARQ |
|---|---|---|
| 基本のしくみ | 誤りを見つけたら再送を求める | 再送制御に誤り訂正符号化を組み合わせる |
| 再送されたデータの使い方 | 送り直してもらう | 最初のデータと再送のデータを合成する |
| 得られるもの | 通信品質の維持 | 高い復号能力 |
| 向く場面 | 誤りへの基本的な対処 | 非常に低い伝送誤り率が必要な場合 |
試験での問われ方
モバイルシステム技術検定2級では、第3章「無線アクセスネットワーク技術」で出ます。もちこ道場の第3章の問題では、次のような問われ方をしています。
- 穴埋め: 「誤りを検出したとき、受信側から送信側へ再送を要求する技術」の空欄に ARQ を選ぶ。「再送制御と誤り訂正符号化を組み合わせ、受信データの合成で高い復号能力を得る技術」なら HARQ です。選択肢には MIMO や FDD などが並びます。
- 解説に出る位置づけ: 誤りに対する信頼性を確保するしくみとして、誤り訂正符号化と、ARQ などの再送制御が並べて出てきます。
覚え方
- キーワードで分けます。「再送を要求」だけなら ARQ、「合成」が出たら HARQ です。
- HARQ の H は Hybrid(複合)。誤り訂正と再送を合わせた技術、と覚えます。
第3章のほかの用語は「第3章 無線アクセスネットワーク技術の要点」にまとめています。
第3章の問題を2問、解いてみる
もちこ道場の第3章の問題です。演習画面と同じ解説(図解・選択肢ごとの解説)を付けています。
問1
非常に低い伝送誤り率が求められる通信において、誤り訂正技術だけで所要の品質が得られない場合、受信側で誤りが検出された部分のデータを送信側に再送信させる技術を1と呼ぶ。
答えと解説を見る
正解は 2(ARQ)です。
【概要】
データの誤り検出時に受信側から送信側へ再送を要求し通信品質を保つ技術である。空欄(1)には再送信を行うARQが入る。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. MIMOあなたの解答 MIMOは複数のアンテナを用いて通信の高速化や大容量化を図る技術であり、再送信を行う空欄(1)には合わない。
- 2. ARQ正解あなたの解答 ARQは受信側で誤りを検出した際に送信側へデータの再送を要求する技術であり、空欄(1)に合致する。
- 3. FDDあなたの解答 FDDは上下の通信に異なる周波数帯を割り当てるデュプレクス方式であり、再送信技術を示す空欄(1)には合わない。
- 4. TDDあなたの解答 TDDは上下の通信に同一周波数帯を時間分割して割り当てる方式であり、再送信制御を行う空欄(1)には合わない。
問2
送信側では、あらかじめ決めておいた規則に従って送信情報系列に冗長な情報を付加し、受信側では、その規則を使って、誤りを含んだ受信情報から元の情報を推定する技術を1と呼ぶ。
答えと解説を見る
正解は 1(誤り訂正符号化)です。
【概要】
送信データに冗長情報を付加し、受信側で伝送誤りを検知・復元する誤り制御技術に関する問題である。空欄(1)には誤り訂正符号化が入る。
【図解】実験的機能
図解は実験的機能です。内容を簡略化しているため、公式テキストの記載と異なることがあります。
【各選択肢の解説】
- 1. 誤り訂正符号化正解あなたの解答 誤り訂正符号化は、冗長情報を付加して受信側で誤りを検知・推定復元する技術であり、空欄(1)の記述に合致する。
- 2. 情報源符号化あなたの解答 情報源符号化は、音声や画像などのアナログ信号をデジタル信号に変換する処理であり、誤り検知・復元のために冗長化する技術ではない。
- 3. 適応変調あなたの解答 適応変調は、回線品質に応じて変調方式や符号化率を動的に切り替える技術であり、冗長情報で誤りを復元する手法ではない。
- 4. 多重化あなたの解答 多重化は、複数の信号を合成して1つの伝送路で同時に送信する技術であり、冗長情報を付加して誤りを推定復元するものではない。
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よくある質問
ARQ と HARQ の A・R・Q は何の略ですか?
ARQ は Automatic Repeat reQuest(自動再送要求)の略です。HARQ はその前に Hybrid(複合)が付いたものです。試験では、略語の意味より、何をする技術かが問われます。
誤り訂正符号化と ARQ は同じものですか?
別の技術です。誤り訂正符号化は、送るデータに冗長な情報を足して、受信側で誤りを見つけて直せるようにします。ARQ は、誤りを見つけたときに再送を求めます。HARQ は、この2つを組み合わせたものです。
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出題範囲は、2026年10月27日にMCPC の公式ページで確認しました。用語の説明は、もちこ道場の問題と解説をもとにまとめたものです。